研究課題/領域番号 |
26440172
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研究機関 | 公益財団法人サントリー生命科学財団 |
研究代表者 |
川田 剛士 公益財団法人サントリー生命科学財団, その他部局等, 研究員 (90300821)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オキシトシン / バソプレシン / 卵巣 |
研究実績の概要 |
①受精2カ月後のカタユウレイボヤ卵巣のおける Ci-VP および Ci-VP-R の局在解析 若年期のホヤ卵巣におけるホヤバソプレシン遺伝子の発現局在を調べるために、in situ hybridization を用いた遺伝子発現解析を行った結果、卵黄形成期卵細胞内に存在するテスト細胞と各卵細胞の間隙に存在する間質様細胞にホヤバソプレシン遺伝子が発現していることを明らかにした。この結果から卵巣におけるホヤバソプレシンの機能は少なくとも2通り以上あることが推定される。 ②受精2カ月後のカタユウレイボヤ卵巣への Ci-VP 投与による遺伝子発現変動解析 若年期のホヤから摘出した卵巣を均等になるように2分割し、その片方にホヤバソプレシンを投与して、何も投与していない卵巣との遺伝子発現を比較する RNA-Seq 実験をおこなった。測定データの in silico 解析をおこない、その再現性を確かめる real-time PCR 実験を試みたが、有意に発現差のある遺伝子を特定には至らなかった。 ④Ci-VP 遺伝子を破壊したカタユウレイボヤの観察 カタユウレイボヤの遺伝子破壊株を作製するにあたり必要な、ホヤ卵への RNA 導入技術の修得に取り組み、その技術の修得に成功した。TALEN を用いた遺伝子破壊実験に必要とされるホヤバソプレシン特異的なモジュールの設計をおこない、そのモジュール配列をコードするプラスミドを構築した。このプラスミドを鋳型にして、in vitro で RNA を合成し、ポリA残基を付加するところまで完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カタユウレイボヤ卵巣へのホヤバソプレシン投与による遺伝子発現変動解析で、発現変動する遺伝子を特定できなかった。一方でH27年度に始める予定だった、ホヤバソプレシン遺伝子を破壊したカタユウレイボヤの作製実験に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
TALEN 遺伝子破壊実験用に調整した ホヤバソプレシン遺伝子破壊用 RNA を、カタユウレイボヤ卵に顕微鏡下で注入する。発生した個体からゲノムを抽出し、Ci-VP遺伝子が正しく破壊されたかをシークエンスを読むことで確認する。この Ci-VP 遺伝子が破壊されたカタユウレイボヤを育成していき、どのような表現型を示すかについて観察する。特に卵巣形成開始期から成長期における卵巣に注視し、Ci-VP 非存在下において正しく卵巣や卵細胞が構築されるかについて観察する。 RNA-Seq 実験にあたり、個体による測定誤差を減らすために個体数を増加させる。また、あらかじめホヤバソプレシン受容体遺伝子の発現量を RT-PCR もしくは定量 PCR でサンプルで確認し、発現量の多い個体を選択する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シークエンサー試薬の一部について、部署に残っていたものを使用したため、物品費に余剰が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
H26年度の余剰分は、遺伝子破壊実験の物品費もしくは次世代シークエンサー再測定の物品費の補填に使用する。
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