研究課題/領域番号 |
26440174
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
海谷 啓之 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40300975)
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研究分担者 |
宮里 幹也 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50291183)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | グレリン / GHS-R1a / グレリン受容体 / 摂食量 / 浸透圧調節 / エネルギー代謝 / 遺伝子発現 / 両生類 |
研究実績の概要 |
グレリンは、成長ホルモン分泌や摂食、エネルギー代謝などに関わるホルモンとして知られる。本研究では、両生類に着目して、グレリンやその受容体の存在意義を考察するための証拠を蓄積してきた。 平成28年度は、主としてグレリンによる摂食調節を検討した。アカハライモリにおいて、単独飼育群または群飼育においてグレリン腹腔投与後の摂食量を検討したが、効果は見られなかった。また、ネッタイツメガエルを用いても検討を行ったが、単独飼育群においてグレリンの腹腔投与は摂食に影響を与えなかった。アカハライモリにおいて、投与20分後をピークにした血漿グレリン濃度の上昇が確認できたことから、少なくとも成体においてグレリンの摂食調節への関与は低いと推察された。 研究期間全体を総括すると、成果として、アフリカ産肺魚において機能的なGHS-R1aを同定し、それが脳、心臓、腸などで発現しており、夏眠時の浸透圧調節やエネルギー代謝調節に関与する可能性が示唆されたこと、チョウザメ(ベステル)の胃からグレリンとそのcDNAを単離し、同一個体中で塩基配列の異なるmRNAが発現し、15位のアミノ酸がグルタミン酸とグリシンの場合があること、受精卵から孵化後20日におけるグレリン遺伝子発現増加を確認できたこと、ウシガエルとアマガエルから機能的なGHS-R1aを同定し、それが主に脳や胃腸管に発現し、絶食や絶水でその発現が変動することなどを明らかにしてきた。一方で、幼形成熟するアホロートル(メキシコサラマンダー)ではグレリンcDNAの増幅が確認できず、また、同定した2種類のGHS-Rフラグメントの完全長cDNAが得られなかった。また、下垂体でのグレリンの作用機序を解明するために行ったツメガエルで同定したグレリン受容体に類似した2種類の受容体の完全長cDNAをクローニングできなかったことなど、未解明な部分も残されたことが残念である。
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