研究課題/領域番号 |
26440186
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
山田 貴富 中央大学, 理工学部, 助教 (30451850)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 減数分裂 / 相同組換え / クロマチン / DNA二重鎖切断 |
研究実績の概要 |
減数分裂相同期組換えは、染色体上のホットスポット領域でDNA二本鎖が切断(DSB)されることからはじまる。申請者らは分裂酵母のホットスポット周辺で、ヒストンH3K9のアセチル化(H3K9ac)がDSB形成を促進することを見いだした。また、H3K4メチル化酵素Set1も、(ホットスポット周辺のヒストンメチル化を介さないで)DSB形成に関わることを報告した。しかし、H3K9acやSet1を欠く細胞でもDSBが部分的ではあるが形成されたことから、他の因子も関与していると考えられる。そこで、本研究では、H3K9acやSet1によるDSB形成機構の詳細を解明する。 当該年度はモデルホットスポットのひとつであるade6-3049に注目した解析を行った。その結果、DNA結合性転写因子であるAtf1が,このホットスポットに結合し周辺での転写を活性化することがわかった。Atf1の転写活性化ドメインを同定したところ、以前に報告された組換え活性化に関わるドメイン(Gao et al. 2008 N. A. R.)と同一であった。このドメインを欠損させると、周辺の転写量が減少するとともにH3K9acやヌクレアーゼ感受性が低下することがわかった。従って、ade6-3049ホットスポットでのH3K9acはその周辺での転写とDSB形成に関連があることがわかった。 また、Set1と協調してDSB形成を促進する因子の候補を取得していたが、実際にこれらの二重変異体ではDSBがほとんど形成されないことを明らかにした。さらに、Set1の酵素活性がDSB末端の処理に関与することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H3K9acやSet1の機能に直接的に迫ることはできていないものの、それに関連する有益な情報や因子を取得できたり、それに関連する論文発表を行えているから。
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今後の研究の推進方策 |
まず、H3K9acとSet1の作用機作を明らかにするためのスクリーニングを改善する。これと並行して、Set1と協調してDSB形成を促進する因子について、解析を進めて論文発表を行う。の解析また、新たなアプローチとして、今回明らかになった転写とDSB形成の相互作用について、機能的な関連性を検討する実験を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度に参加した国際学会に関わる旅費について、所属機関側からの補助が得られたため。また、2016年度中に受理されると予想していた論文の受理が2017年3月にずれ込み、その掲載料支払いが2016年度中に行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度末に受理された論文、及び2017年度中に投稿する論文2報の論文掲載料に充当する予定である。
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