研究課題/領域番号 |
26440192
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
成 耆鉉 独立行政法人理化学研究所, 石井分子遺伝学研究室, 客員研究員 (40425632)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 拘束ストレス / エピジェネティクス / 非メンデル遺伝 |
研究実績の概要 |
オス親への拘束ストレスを与える系の確立を目指した。ショウジョウバエの体に極力ダメージを与えずに、拘束ストレスを与える方法として、スポンジ栓で個体をサンドイッチ状に挟むことにし、ショウジョウバエが約10時間の連続的な拘束状態でも、耐えられることを見出した。さらに、このような拘束ストレスを毎日継続した場合、4日目から、死亡個体が増大してくることがわかった。実際にオス親に拘束ストレスを与えて、次世代のヘテロクロマチンの状態を観察したところ、親の拘束ストレス曝露により、ヘテロクロマチン状態が弱まることが見出された。また、拘束ストレスを1,2回だけ与えた場合では、初期に生まれた子においてのみ、影響が現れ、その後の子には影響が出ないことが見出された。また、興味深いことに3日連続拘束ストレスを与えると、その効果が、多くの次世代において続くことが明らかになったことから、実験系としては、雄親に一日10時間の拘束ストレスを3日連続で与えることに決定した。 また、拘束ストレスによる次世代のヘテロクロマチンへの影響が、dATF-2経路依存的かどうかを調べるため、dATF-2突然変異体と、p38の上流にあるdMEKK1の突然変異体を用いて、同じような解析をおこなったところ、次世代においてヘテロクロマチンへの影響が見られなかったことから、この影響が、dATF-2経路依存的であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験系の確立を目指した本年度においては、おおむね順当に、系の確立向かって進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、拘束ストレスを用いた、次世代における影響を、個体レベル、遺伝子発現レベルで解析していき、その、意義に迫っていきたいと考えている。そのため、雄の拘束ストレス曝露による、次世代への影響を、RNAseq解析で明らかにしていき、そこから、推定される、表現型について、調べていきたいと考えている。
また、マウスにおいて、心的外傷ストレスの行動への影響が、次世代に伝わることが示されているが、その分子メカニズムに迫るため、本研究において、さらに、強い精神ストレスとして知られる、拘束ストレスを用いて、匂いとの条件付けの系をつくり、その次世代への影響も見て行きたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張時に提供されたランチが、無料で配られたものであったため、昼食代を返金した。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬の購入に充てたいと考えている。
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