研究課題/領域番号 |
26440192
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
成 耆鉉 国立研究開発法人理化学研究所, 石井分子遺伝学研究室, 客員研究員 (40425632)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 拘束ストレス / エピジェネティクス / 非メンデル遺伝 |
研究実績の概要 |
これまで、拘束ストレスによる次世代における影響が、dATF-2ノックアウト変異体を用いることによって、消失することが明らかとなった。dATF-2は転写因子として知られており、実際に特定のDNA配列に結合することが知られている。そこで、生殖系列におけるdATF-2 のゲノム中の結合領域を特定することを目指した。 まず、これまでCHIP-seq等に使える良い抗体がなかったことから、全長タンパクや抗原ペプチドによる抗体作製を試みた。しかしながら、作製した抗体は、全て非特異的な抗体であったため、DamID(DNA adenine methyltransferase identifi- cation)という新たな解析手法で行うことにした。この手法を用いるため、DamとdATF-2の融合タンパクを発現するトランスジェニックショウジョウバエを作成した。コントロールとして、Damのみを発現するトランスジェニックショウジョウバエも同時に作製した。今後、この手法により、dATF-2結合領域の特定をする予定である。 また、これまでに確立した、ショウジョウバエに拘束ストレスを与える実験系を利用し、拘束ストレスを、誘引物質であるペンタノールを染み込ませた濾紙を含むバイアルを用いて行い、拘束ストレスと匂いのコンディショニングを行い、その個体の次世代において、ペンタノールに対して忌避性を示すかどうかを調べた。次世代の個体における匂い行動の測定には、3齢幼虫を用いた。しかしながら、次世代における誘引行動に、有意なさを見出すことは出来なかった。さらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生殖細胞におけるdATF-2結合領域の決定に、CHIP法を用いることにしたが、良い抗体がなかったので、抗体作製に取り組んだ、しかしながら、結果として、良い抗体を得ることが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
DamID法による、生殖細胞におけるdATF-2結合領域を早急に同定し、拘束ストレスによる、dATF-2を介したエピゲノム制御のメカニズムを明らかにしていく。そして、その影響が次世代において、どのようにして維持されていくのかを検討していきたいと考えている。 また、昨年度と同じく、心的外傷後ストレスの次世代への行動への影響が出るのかどうかを、詳細に検討し、本現象の生物学的意義に迫っていきたいと考えている。
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