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2014 年度 実施状況報告書

セプチン細胞骨格を起点とした細胞質分裂装置の進化過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26440195
研究機関東京大学

研究代表者

山崎 誠和  東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任助教 (40400189)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード微細緑藻 / 細胞質分裂 / 細胞膜 / セプチン / 進化
研究実績の概要

本年度の目標は、細胞分裂を同調化した単細胞緑藻クロレラの分裂期と成長期の細胞膜タンパク質を精製し、単細胞緑藻の細胞膜タンパク質のカタログ化と分裂に伴うそれらの量的変動を明らかにすることであり、そのために以下の課題を設定した。即ち、1)単細胞緑藻クロレラの細胞分裂を明暗周期によって同調化、2)分裂期と成長期の細胞から水性二相分配法によって細胞膜を単離、3)精製した細胞膜タンパク質の組成を微量質量分析法によって解析し、質量データをデータベースと対照かつ相対的な量比を推定、分裂期とそれ以外で比較、の3点である。
1)クロレラ細胞の細胞分裂の同調化については、研究代表者らが全ゲノム解析をしているクロレラの1種P. kessleriを用いた。しかし、明暗周期では細胞分裂を同調化できなかった。そこで、近縁種であるC. sorokinianaを用いたところ同条件で分裂の同調化が認められた。明暗周期と培地を調整したところ、同調的に細胞が増殖させることができた。
2)水性二相分配法はこれまでに微細藻類への適用例が殆どなく(クラミドモナスで2例)、また、どの例も細胞壁欠損株を材料としているため、細胞破砕法から検討した。その結果、フレンチプレス法によりクロレラでも完全に細胞を破砕でき、かつ、水性二相分配法で細胞膜タンパク質を分画できた。
3)当初の予定では全ゲノム解析の進んでいるP.kessleriを材料とする予定であったが、上述の問題からC. sorokinianaに材料を変更したため、ゲノム情報が利用できなくなった。そのため、mRNA-Seq解析を実施し、現在、データ解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究実績の概要で述べた通り、当初は全ゲノム解析が先行しているP.kessleriを研究材料に用いていたが、細胞分裂の同調率の低さから近縁種のC. sorokinianaに材料を変更した。そのため、明暗条件や培地開発に時間を要した。また、ゲノム情報が利用できないため、新たにmRNA-Seq解析を実施しており、その情報解析に時間を要している。一方で、細胞分裂の同調化、また、細胞膜タンパク質の精製は成功している。以上から、当初予定していなかったmRNA-Seqの実施、および、当初予定していた質量分析が次年度に持ち越されたため、達成度を「(3)やや遅れている。」とした。

今後の研究の推進方策

本年度は、(1)単細胞緑藻のセプチンと相互作用する因子を同定する。(2)同定した相互作用因子の機能を推定し、真核生物のゲノム間での保存性を明らかにする。また、(3)相互作用因子に対する新規抗体を作成し、抗体を評価する、の3点としていた。しかし、mRNA-Seqの情報処理、細胞膜タンパク質のカタログ化が遅延しているため、まず、両者を優先して進める。具体的には、mRNA-Seq解析では、mRNA情報からプロテオーム解析用データベース構築、セプチンホモログの同定、既知の細胞質分裂装置を同定することを予定している。その上で、平成26年度に精製した細胞膜タンパク質のカタログ化を実施する。また、セプチンホモロの同定後、抗体を作成し、評価を行う。評価方法は、発現および局在であり、発現は免疫ブロット法、局在は間接蛍光抗体法および免疫電顕法を用いる予定である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] HAP2/GCS1 is involved in the sexual reproduction system of the marine macroalga Ulva compressa (Ulvales, Chlorophyta)2014

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki, T., Endo, M., Ito, K., Suzuki, R., Ota, S., Kuwano, K., Miyamura, S., Toyoda, A., Kawano, S.
    • 雑誌名

      Cytologia

      巻: 79(4) ページ: 575-584

    • DOI

      10.1508

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A transformation system using rbcS N-terminal region fused with GFP demonstrates pyrenoid targeting of the small subunit of RubisCO in Ulva compressa2014

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, R., Yamazaki, T., Toyoda, A., Kawano, S.
    • 雑誌名

      Cytologia

      巻: 79(4) ページ: 1-2

    • DOI

      10.1508

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 微細藻類への重イオンビーム照射によるバイオ燃料増産株の作出2014

    • 著者名/発表者名
      松田尚大、竹下毅、大田修平、山﨑誠和、風間裕介、阿部知子、平田愛子、河野重行
    • 雑誌名

      生物工学会誌

      巻: 92 ページ: 602-606

  • [雑誌論文] Mutation rates of Parachlorella kessleri by heavy-ion-beam irradiation and classification of their genomic deletion types2014

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki, T., Ota, S., Oshima, K., Hattori, M., Kazama, Y., Abe, T., Kawano, S.
    • 雑誌名

      RIKEN Accel. Prog. Rep.

      巻: 47 ページ: 301

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Starch and lipid accumulation in eight strains of six Chlorella species under comparatively high light intensity and aeration culture conditions2014

    • 著者名/発表者名
      Takeshita, T., Ota, S., Yamazaki, T., Hirata, A., Zachleder, V., Kawano, S.
    • 雑誌名

      Bioresour Technol

      巻: 158 ページ: 127-134

    • DOI

      10.1016

  • [雑誌論文] Use of FM1-43, a membrane-specific fluorescent dye, to estimate plasma membrane integrity in the cryopreservation of green algae2014

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki, T., Hirai, C., Ota, S., Kuwano, K., Kawano, S.
    • 雑誌名

      Cryo Letters

      巻: 35(3) ページ: 180-187

  • [学会発表] アオサ藻綱ヒラアオノリのゲノム解読と雌雄ゲノムの比較による性決定領域の探索2015

    • 著者名/発表者名
      山﨑 誠和、鈴木 亮吾、市原 健介、豊田 敦、桑野 和可、鈴木 穣、河野 重行
    • 学会等名
      日本藻類学会第39回大会
    • 発表場所
      九州大学(福岡県、福岡市)
    • 年月日
      2015-03-20 – 2015-03-21
  • [学会発表] クロレラの重イオンビーム照射による突然変異誘導と屋外大量培養株の作出2015

    • 著者名/発表者名
      竹下 毅、山下 雄一、大田 修平、山﨑 誠和、大島 健志朗、服部 正平、風間 裕介、阿部 知子、河野 重行
    • 学会等名
      日本藻類学会第39回大会
    • 発表場所
      九州大学(福岡県、福岡市)
    • 年月日
      2015-03-20 – 2015-03-21
  • [学会発表] 九州・四国沿岸域のアオサ属の種多様性と一新種の発見2015

    • 著者名/発表者名
      市原 健介、鈴木 亮吾、山﨑 誠和、桑野 和可、河野 重行
    • 学会等名
      日本藻類学会第39回大会
    • 発表場所
      九州大学(福岡県、福岡市)
    • 年月日
      2015-03-20 – 2015-03-21
  • [学会発表] Chlorella sorokiniana におけるオートファジーの3次元微細構造学的研究2015

    • 著者名/発表者名
      大田 修平、吉原 真衣、山﨑 誠和、南郷 脩史、平田 愛子、河野 重行
    • 学会等名
      日本藻類学会第39回大会
    • 発表場所
      九州大学(福岡県、福岡市)
    • 年月日
      2015-03-20 – 2015-03-21
  • [学会発表] クロレラ類の栄養飢餓条件における物質の蓄積動態を電顕3D法で立体構築する2014

    • 著者名/発表者名
      吉原真衣、大田修平、山﨑誠和、許斐麻美、平田愛子、河野重行
    • 学会等名
      日本植物学会第78回大会
    • 発表場所
      明治大学(神奈川県、川崎市)
    • 年月日
      2014-09-12 – 2014-09-14
  • [学会発表] 鈴木亮吾、清水恭夫、市原健介、山崎誠和、桑野和可、河野重行2014

    • 著者名/発表者名
      ヒラアオノリの一過的形質転系を用いて観察した単為生殖過程のオルガネラと細胞の動態
    • 学会等名
      日本植物学会第78回大会
    • 発表場所
      明治大学(神奈川県、川崎市)
    • 年月日
      2014-09-12 – 2014-09-14
  • [学会発表] オイル蓄積を誘導する硫黄飢餓に対する微細緑藻 Parachlorella kessleri のトランスクリプトーム解析2014

    • 著者名/発表者名
      山崎 誠和、大田 修平、竹下 毅、佐藤 聖樹、大島 健志朗、服部 正平、河野 重行
    • 学会等名
      第66回生物工学会大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道、札幌市)
    • 年月日
      2014-09-09 – 2014-09-11
  • [学会発表] クロレラ類のデンプン・オイル蓄積とその生産性に及ぼす強光と屋外大量培養系の影響2014

    • 著者名/発表者名
      竹下 毅、山﨑 誠和、大田 修平、Zachleder Vilém、河野 重行
    • 学会等名
      第66回生物工学会大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道、札幌市)
    • 年月日
      2014-09-09 – 2014-09-11
  • [産業財産権] 長鎖脂肪酸生産藻類及びそれを用いた長鎖脂肪酸生産方法2014

    • 発明者名
      河野重行、山﨑誠和、大田修平、鴻巣絵梨香、竹下毅など
    • 権利者名
      河野重行、山﨑誠和、大田修平、鴻巣絵梨香、竹下毅など
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2014-152376
    • 出願年月日
      2014-07-25
  • [産業財産権] カロテノイドの大量生産方法2014

    • 発明者名
      河野重行、山﨑誠和、大田修平、竹下 毅、宮下英明
    • 権利者名
      河野重行、山﨑誠和、大田修平、竹下 毅、宮下英明
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2014-259462
    • 出願年月日
      2014-12-22

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公開日: 2016-05-27  

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