植物は、原始的な単細胞性の動物が葉緑体を獲得することで進化した。しかし、生物の細胞が増殖する仕組みの一つである細胞質分裂が動物と植物で大きく異なる。ヒトなどの動物やカビなどの菌類は、細胞が分裂する際に細胞を包む細胞膜が外側から内側へと陥入し、最終的には細胞膜が縊り切れる。この陥入には収縮環と呼ばれる環状の分子装置が関わっていることが分かっている。一方で、植物では、細胞の内側から外側へと細胞板と呼ばれる分子装置が拡張することで為される。そこで、原始的な植物である藻類と動植物の細胞分裂に関わる遺伝子を比較した。その結果、セプチンと呼ばれる動物・菌類タイプの分裂装置の一つの進化過程が明らかになった。
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