• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

新生マイクロRNAの遺伝子制御網への組み込み過程の分子進化

研究課題

研究課題/領域番号 26440197
研究機関香川大学

研究代表者

岩間 久和  香川大学, 総合生命科学研究センター, 准教授 (20398035)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードマイクロRNA / 哺乳類
研究実績の概要

ゲノム情報が利用可能な哺乳類38種とアウトグループの脊椎動物5種を用い、ヒトのマイクロRNA遺伝子セットの各遺伝子について生起時期の推定を当初の計画に則り行った。具体的な生起時期として、次の哺乳類の進化過程の区分を用いた。つまり、有胎盤類からヒトに至る進化過程の13区分と、それ以前の原獣類と後獣類の分岐及びアウトグループにより分かたれた3区分である。また、概略の傾向を知るために4大区分をもちいた。すなわち、有胎盤類以前、有胎盤類、真猿類、ヒト上科である。
各生起時期由来のヒト・マイクロRNAのターゲット遺伝子を計算により予測した。さらに、ヒト・マイクロRNAの発現強度とそのターゲット遺伝子の発現強度との関係を、発表されている臓器別の網羅的RNA-seqデータを元に調べた。その結果、臓器特異的に高発現するマイクロRNAは、その臓器で高発現している遺伝子をターゲットとする場合が少ない一方で、その同じ臓器で中程度の発現をする遺伝子をより多くターゲットとする傾向が有意に認められた。そして、この傾向はマイクロRNAの生起時期が古いほど顕著であった。このターゲット遺伝子選択の特異性とマイクロRNAの生起時期との関係は、マイクロRNAが遺伝子制御ネットワークに与える影響を示唆すると考えられた。
また、臓器別に調べると、生起時期が古いマイクロRNAほど高い発現強度を示すと言うこれまで報告されている傾向は、各臓器で概ね共通していることが確認された。しかし、胎盤や精巣では、比較的新しいヒト・マイクロRNA(ヒト上科及び真猿類の進化時期由来の一部)の発現が、新しい起源にもかかわらず高い発現強度を示した。このことから精巣、胎盤では、他臓器とは異なるヒト・マイクロRNA生起後の進化過程が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画に従って研究を進めることができたと考えられた。当初に計画したターゲット遺伝子の計算による予測結果に加え、臓器別の網羅的RNA-seqデータに基づくターゲット遺伝子との関係を調べ、その結果を加えることが可能となった。研究の計算処理系を柔軟性のある構成とすることにより、多くのデータを加えることができた。また、マイクロRNAやゲノムデータセットのアップデートにも迅速に対応できるようになった。さらに計算過程をパイプライン化し汎用性を高める過程にある。

今後の研究の推進方策

これまでに得られた知見について、学会発表、学術論文発表等を通して、公開を進めていく。研究を通して形成された計算処理過程の汎用化を行い、一般に共有できるよう整備を図る。このような計算過程の汎用化は当該研究におけるデータ規模拡大を容易にし、研究結果の検証や再現性の確保にも有用となることから、さらに進展させる。また、マイクロRNAの生起過程やターゲット選択の進化過程についてのモデル化を進め、より一般性のある形式での研究結果の提示を行いたいと考える。

次年度使用額が生じた理由

予定していた論文発表・出版の過程が次年度に持ち越されたため、その費用が次年度使用額として生じる見込みとなった。

次年度使用額の使用計画

発表する当該研究論文の英文校正・出版の費用として用いる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ヒト・マイクロRNAの臓器別発現量とターゲット選択特性2015

    • 著者名/発表者名
      岩間久和、藤田浩二、井町仁美、村尾孝児、正木 勉
    • 学会等名
      日本遺伝学会第87回大会
    • 発表場所
      宮城
    • 年月日
      2015-09-25
  • [学会発表] マイクロRNAの生起時期と臓器別発現量2015

    • 著者名/発表者名
      岩間久和、藤田浩二、井町仁美、村尾孝児、正木 勉
    • 学会等名
      日本進化学会第17回大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-08-20

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi