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2016 年度 実施状況報告書

新生マイクロRNAの遺伝子制御網への組み込み過程の分子進化

研究課題

研究課題/領域番号 26440197
研究機関香川大学

研究代表者

岩間 久和  香川大学, 総合生命科学研究センター, 准教授 (20398035)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードマイクロRNA / 哺乳類
研究実績の概要

前年度明らかにした、マイクロRNAの中程度発現遺伝子への優先的ターゲッティングの知見について、以下の2点をヒト臓器別RNA-seqデータにより解析した。
まず、今回の方法では、マイクロRNAとターゲット遺伝子が各臓器で共発現していれば、マイクロRNAのターゲッティングが生じているとみなして、ターゲットサイトを網羅的計算により得ている。そのため、異なるアルゴリズムを用いたとき、結論に齟齬が生じないかを検証するために、TargetScan及びPITAを用いて結論の頑健性を調べた。始めに、TargetScanで3通りの閾値を用いて網羅的にターゲットサイトを予測し、その予測サイト数と最も近い数となるようにPITAの閾値を定め、計6通りの条件で検証した。結果、PITAの最も厳しいしい条件を除いて、5通りで有意に結論が支持された。このことは、予測アルゴリズムの違いに対して再現性のある結論であることを示している。
次に、マイクロRNAの中程度発現遺伝子へのターゲット優先性は、マイクロRNAによるmRNAの抑制の効果よってもたらされている可能性を検討した。従来、高等動物ではマイクロRNAによるこの効果は僅かであるとされてきた。今回、ある臓器で最も高い発現レベルを示すが、他のある臓器では発現がないようなマイクロRNA、84種類を見出し、マイクロRNAの発現の有無でターゲット遺伝子の発現量がいかに変化するかを調べた。結果、マイクロRNA高発現の条件下でターゲット遺伝子の発現量は低下せず、ターゲットmRNAはむしろ高発現を示すことが分かった。このことは、ヒト組織においてマイクロRNAのmRNA抑制効果は小さく、むしろ逆方向の転写制御の効果によりマスクされる程度である事を示した。
以上のように解析の再現性を確かめ、他に取り得る解釈を否定することができたので論文として投稿し、査読中となっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

マイクロRNAとターゲットとなるmRNAの共発現をRNA-seqデータから臓器別に同定する解析を行ったことと、得られた結果が異なるターゲットサイト予測プログラムで異なる閾値を用いた場合も成り立つかを検討したこととにより、当初の予定より多くの計算時間を要した。そのため、論文投稿が年度の終盤になり査読過程に留まり、期間を延長し改定・論文出版の過程を行う事となった。

今後の研究の推進方策

前年度終盤に結果を論文として投稿したが査読過程に留まったため、期間を延長し、今後論文の改定・出版の過程を行う。査読の過程で追加解析の必要性が生じた場合迅速に対応し期間内の論文出版を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画以上に計算時間を要したことなどにより、前年度終盤に投稿した論文が査読過程に留まったので、その出版にかかわる費用が使用額として生じる見込みとなった。

次年度使用額の使用計画

査読の結果により論文を改訂したときの英文校正費用と、論文の出版の費用として用いる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ヒト・マイクロRNAとターゲットの発現強度の相関とマイクロRNAの古さ2016

    • 著者名/発表者名
      岩間久和、 藤田浩二、井町仁美、村尾孝児、正木 勉
    • 学会等名
      日本遺伝学会第88回大会
    • 発表場所
      静岡
    • 年月日
      2016-09-08

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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