ヒトの網羅的マイクロRNA発現情報、タンパクコード遺伝子発現情報、及びヒト・マイクロRNAの進化的な新生時期の情報を用いて、前年度までに得られた解析結果より以下4点が明らかになった。その結果を本研究年度5月にジャーナルを変更して投稿した。その4点は、 ― (i) マイクロRNAの中程度発現遺伝子へのターゲッティング好性、(ii) マイクロRNAの高発現遺伝子へのターゲッティング忌避、(iii) マイクロRNAのターゲッティング特性(好性/忌避)の進化過程での確立、(iv) マイクロRNA以外の制御にマスクされる程度のターゲット遺伝子発現に対する弱抑制効果 ― である。 査読コメントに従い、前年度までに得られた知見が、異なる種やデータセットでも成り立つかを検証するために、次の5点について本研究のすべての過程について再解析を行った。それらは、 ― (1)ヒト以外の種でデータの整備されているマウスゲノム/遺伝子発現データも用いる、(2)マイクロRNAの基本情報であるmiRBaseについて、最新のRelease 21のデータを用いる、(3)3′ UTR情報をゲノムデータベースEnsembl Release 69から89にアップデートして用いる、(4)マイクロRNAターゲット予測プログラムとして最新のTargetScan version 7.01を用いる、(5)マイクロRNA発現についてRNA-seqによるデータセットのみならず、マイクロアレイによるデータセットも用いる ― である。 その結果、知見(i)~(iv)は、種を越えてマウスでも成立し、データセットと予測プログラムのアップデートによっても同様に再現された。また、異なるプラットホームによるデータを用いても知見(i)~(iv)すべてが再現された。これらの結果を追加して改訂稿を投稿し、査読審査を経て受理された。
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