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2015 年度 実施状況報告書

形質転換体ミジンコを用いた形態形成遺伝子機能のリアルタイム解析

研究課題

研究課題/領域番号 26440199
研究機関東京薬科大学

研究代表者

志賀 靖弘  東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (00277253)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードミジンコ / 形態形成遺伝子 / RNA干渉 / 形質転換系 / 機能解析 / リアルタイム
研究実績の概要

本研究課題は、「節足動物の外形態多様性の成立と形態形成遺伝子群の分子進化の関係の解明」を最終目標として、ミジンコ付属肢形態の「違い」を決定するために重要な遺伝子群の同定と、それらの遺伝子群が関与する分子機構の解明を研究目的としている。

【形質転換法によるGFP発現ミジンコの作製とGFP発現を指標とした胸部付属肢形成過程の詳述】野生株のミジンコ胚におけるRNA干渉実験では、発生の各ステージで固定したRNAi胚の表現型や遺伝子発現の変化を観察するしかないために、多数の形態形成遺伝子の機能を効率よく解析するのは困難である。RNAi胚の表現型や遺伝子発現の変化などを、GFPを発現する形質転換系統を用いて胚発生過程の初期から終期まで追跡すれば、この問題を乗り越えてより効率的に研究を進めることができると着想した。今年度は、昨年度に引き続き、既に確立されている胚全体で核局在型GFP を発現する系統の胚発生過程を共焦点レーザー顕微鏡でタイムラプス解析し、ミジンコ発生における特に胸部付属肢の形成過程を理解することが出来る動画を作製した。

【形質転換体ミジンコ胚における各種形態形成遺伝子群の「リアルタイム」機能解析】GFPを発現する形質転換系統ミジンコの初期胚内に、各種の形態形成遺伝子の2本鎖RNAを微小注入し、RNA干渉によりそれらの遺伝子機能を抑制した場合に形態形成過程のどの時期にどのような影響があるのかを、GFPの発現を指標にして「リアルタイム」で追跡することを目的とした。今年度は、まだ詳細な解析が行われていなかった、オオミジンコの6種のHox/paraHox遺伝子に関して研究を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

【形質転換法によるGFP発現ミジンコの作製とGFP発現を指標とした胸部付属肢形成過程の詳述】胚全体で核局在GFPを発現する系統を用いた共焦点レーザー顕微鏡によるタイムラプス解析で、特に胸部の付属肢形成を理解することができる動画を作製した。昨年度に引き続き、特に「付属肢:核局在型」のGFP発現形質転換系統の樹立を試みたが、昨年度より多くの胚にプラスミドDNAを微量注入したが、残念ながら現在まで同系統の樹立には至っていない。

【形質転換体ミジンコ胚における各種形態形成遺伝子群の「リアルタイム」機能解析】昨年度に作製したdsRNAを用いたRNA干渉法により、これまで詳細な解析を行っていなかった、オオミジンコの6種のHox/paraHox遺伝子の「リアルタイム」機能解析を進めた。各Hoxタンパク質の発現領域に対応した付属肢の形成異常など、予想通りの表現型が得られた一方で、タンパク質発現が確認できない、より後部領域における付加的な付属肢の形態異常なども一部で観察された。またこの異常は重複しない領域から作製した複数のdsRNAによっても共通して観察された。

今後の研究の推進方策

平成28年度の研究推進方策に関して:

(1)ここ数年の研究の進展により、オオミジンコにおいてもCRSPR/Cas9によるゲノム編集系(遺伝子のノックアウトおよび外来遺伝子のノックイン)が可能になった。またこの系では、プラスミドDNAを単純に微量注入するよりも遥かに高効率の形質転換が期待できる。本年度はこの系の導入を検討し、「付属肢:核局在型」をはじめとしたGFP発現形質転換系統の樹立を試みる。

(2)RNA干渉法によるHox/paraHox遺伝子群の「リアルタイム」機能解析を継続する。特に今年度の研究で観察された、Hox RNAi胚におけるタンパク質発現が確認できない後部領域における付加的な付属肢の形態異常という問題に関して、これらが各dsRNAの非特異的な影響なのかどうかを明らかにするために、上記したCRSPR/Cas9によるHox/paraHox遺伝子のノックアウトも平行して実施したい。

次年度使用額が生じた理由

当初の研究計画に記した通り、新しいGFP発現系統が今のところ樹立できていないことにより、セルソーターによる細胞の分離、およびマイクロアレイによる遺伝子発現のプロファイリングが今のところ実施できていない。これらの実験に必要な試薬キットなどが未購入であることから「次年度使用額」が生じることとなった。

次年度使用額の使用計画

「次年度使用額」に関しては、新しいGFP発現系統が樹立できた時点で必要な試薬キットの購入のために使用する。また来年度からは、RNA干渉法と平行して、CRSPR/Cas9法による遺伝子ノックアウトによる「リアルタイム」機能解析や、遺伝子ノックインによる新しいGFP発現系統の樹立なども検討する予定であるので、これらの実験に必要な試薬の購入費に充てることも予定している。

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公開日: 2017-01-06  

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