研究課題/領域番号 |
26440200
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
岸本 利彦 東邦大学, 理学部, 教授 (90339200)
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研究分担者 |
四方 哲也 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (00222399) [辞退]
渡邊 総一郎 東邦大学, 理学部, 准教授 (10287550)
津留 三良 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (80594506)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 相互作用 / 進化 / 大腸菌 / 高温適応進化 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、集団進化における相互作用の位置づけを明らかとするため、集団中での変異と相互作用のダイナミクス、代謝と相互作用の相関解析を行い、過酷環境での相互作用の出現と進化における相互作用の影響の解析を行った。 45℃適応進化過程初期の進化集団の1細胞培養により6種類の変異が段階的に固定した細胞を取得した。これらの細胞を用い、45℃増殖時の増殖速度、溶存酸素消費、グルコース消費、乳酸生産について経時的解析を行った。その結果、43℃適応細胞は、45℃での増殖において低細胞密度での酸素消費が大きくなり乳酸生産は見られなかった。45℃適応初期の細胞では、酸素が存在する低細胞密度において乳酸の培地への蓄積が見られるようになり、4番目に固定されるlon変異が固定された細胞ではグルコース消費の大幅な増加が見られた。その後のgroL変異の固定により、グルコース消費、酸素消費、乳酸蓄積は減少した。細胞増殖の濃度依存性による相互作用の強度は、lon変異株が最も強く、groL変異固定に伴い相互作用が消失してゆくことが確認された。これより、致死温度に近いストレスを受けた細胞では、酸素消費を行いながら乳酸合成を行うようになり、同時期に相互作用が強くなることが確認された。また、有害変異蓄積による細胞内環境悪化は、酸素やグルコースと言ったエネルギー関連分子の大量消費を引き起こすと共に相互作用を強くする傾向があることが示唆された。 本研究により、大腸菌細胞間の相互作用は、外部環境変化のみならず有害変異による内部環境変化によっても誘導され、代謝モードの変更による代謝物蓄積を介して相互作用を出現させる可能性が示唆された。
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