研究実績の概要 |
平成27年度は、主な研究対象の無胚乳種子群であるマメ科の種子試料の収集を目的として、四国・九州・中国地方、さらに北関東周辺にて採集を行い、11種(Wisteria floribunda, Maackia tashiroi, M. floribunda, Millettia japonica, Lespedeza pilosa, L. cuneata, Rhynchoia volubilis, Amphicarpaea bracteata, Desmodium podocarpium, D. oldhamii, D. paniculatum)の種子液浸標本(様々な発達程度のもの)と証拠標本を得た。これらを材料に、現在内乳の発達過程の解析を進めている。また、これと平行して、無胚乳種子を持つ他の群であるハエドクソウ科ハエドクソウ属についても、試料収集を行なった。ハエドクソウ属については、無胚乳種子と言われているが、実際は、種子成熟時まで2層の内乳組織が存在し続けることを確認した。一方で、胚と内乳とを連絡する胚柄他の構造が認められず、どのように内乳から胚へ栄養分が移動するのか、今後の研究課題となった。なお、このハエドクソウ属の研究を進めるにあたり、材料の特定のため、正しい分類と学名の付与が必要なため、このことも平行して行った。その結果、日本においてはハエドクソウとナガバハエドクソウの2型が存在し、一方はPhryma nana, 他方はP. oblongifoliaの学名が正しいことを示し(植物分類学会富山大会での発表、および論文として投稿中)、今後の研究の基盤とした。
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