• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

日本近海に広域分布する海藻類の多種系アプローチによる比較系統地理学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 26440208
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

嶌田 智  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (40322854)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード海藻類 / 系統地理学的解析 / 褐藻 / SSR / RAD-seq
研究実績の概要

褐藻ヒジキのSSRsマーカーを新規に単離し,系統地理学的解析をおこなった。マーカー単離は1KPのRNAseqデータから,msatcommanderで候補プライマー配列を決定し,増幅・多型を確認し,7つのSSRsにしぼった。STRUCTUREでの解析の結果,統計的に最もらしいK=2では,沖縄,太平洋岸西日本,日本海から北海道函館までが1つのクラスター,太平洋東日本から東北八戸までが1つのクラスターを形成した。K=5では,関東館山から東北八戸が1つのクラスターを形成し,このクラスターの遺伝的多様性は低くFst値(STRUCTURE)が高く遺伝的浮動が強くかかったことが示唆された。PCoAでは,地理的には近い北海道函館と東北八戸は遺伝的にもっとも遠くに位置した。G”stでは,関東館山から東北八戸は遺伝的に近縁であることが示された。
褐藻ウミトラノオでは,次世代シーケンサーにおけるRADseq解析でゲノムワイドにSPNs情報を取得した。幾つかの条件でSNPsを絞り込み,最終的に26個体群,120個体,284SNPsで系統地理学的解析を進めた。STRUCTUREでの解析の結果,統計的に最もらしいK=2では,沖縄,九州西岸,日本海,北海道全域,東北地方が1つのクラスターを形成し,九州東岸,太平洋沿岸,千葉銚子までがもう1つのクラスターを形成していた。K=6では,東北地方が1つのクラスターを形成し,このクラスターの遺伝的多様性は低くFst値(STRUCTURE)が高く遺伝的浮動が強くかかったことが示唆された。
褐藻ヒジキの沖縄馬天産,千葉館山産,および北海道函館産のサンプルから,次亜塩素酸処理により単藻培養株を作出した。予備的にImaging-PAMでFvFmを解析したところ,北海道函館産のヒジキは水温30℃においてFv/Fmが減少することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

系統地理学的解析は,RAD-seqで一度にSNPs情報を取得したいため,全ての地域から採集産物が集まらないと解析できない。地域適応に関しては,褐藻ヒジキの単藻培養株の作出に時間がかかってしまった。

今後の研究の推進方策

今秋で採集は打ち切り,全ての種でRAD-seq解析をスタートさせる。また,単藻培養化に成功した沖縄,館山および函館産の褐藻ヒジキを用い,ヒートストレス・チリングストレスなど,環境条件を変えて,Imaging-PAMでのFv/Fm,酸素電極を用いた呼吸・光合成活性などの生理的な違いを解析する。さらに,単藻培養化に成功した沖縄,館山および函館産の褐藻ヒジキを用い,生理的な違いの見られた環境条件下で培養し,そこからRNA-seqによって,違いに関与する候補遺伝子をスクリーニングし,それらの転写レベルの差を確認する。

次年度使用額が生じた理由

次世代シーケンサーのRAD-seq解析が全地域サンプルが揃わないとかけらないから。

次年度使用額の使用計画

今秋で区切り,全ての種でRAD-seq解析をおこなう。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ハワイ大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ハワイ大学
  • [国際共同研究] 中国科学院海洋研究所(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      中国科学院海洋研究所
  • [学会発表] 大型藻類の系統地理学的解析2016

    • 著者名/発表者名
      嶌田智・榎本葵・堀内はるな・河口莉子・拝野優佳・岩崎貴也
    • 学会等名
      第40回日本藻類学会
    • 発表場所
      日本歯科大学
    • 年月日
      2016-03-20
  • [備考] お茶の水女子大学 嶌田研究室

    • URL

      http://www-p.sci.ocha.ac.jp/bio-shimada-lab/

URL: 

公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi