ニハイチュウは底棲の頭足類の腎嚢に片利共生する体長数ミリの多細胞動物である。生活場所をめぐる種間相互作用の結果、体の前部に位置する極帽の形が4つのタイプに多様化し、これらが頭足類ごとに生じることから収斂進化が示唆された。そこで、分子系統学的手法で、これら極帽タイプがどのような過程で多様化したか、その実態を明らかにした。その結果、ニハイチュウ類の種間の系統関係は、同じ宿主にみられる種間の類縁が近い種が多数みられ、極帽形態の類似と系統とは無関係であった。一方でニハイチュウ類の一部の種にはhost switchingが起き、極帽形態の類似現象の全てが収斂進化では説明できないことが明らかになった。
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