研究課題/領域番号 |
26440223
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
土金 勇樹 日本女子大学, 理学部, 助教 (20434152)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 有性生殖 / 藻類 / 性決定遺伝子 / 生殖様式 / ホモタリズム / ヘテロタリズム / 種分化 |
研究実績の概要 |
ヒメミカヅキモには、+型と-型の遺伝的に決定された性を持つヘテロタリック株(以下、ヘテロ株)と、1細胞由来の同一クローン同士で接合子をつくるホモタリック株(以下、ホモ株)が存在する。ヘテロ株では、-型細胞ゲノムのみに存在し、接合型表現を制御するCpMinus1遺伝子が発見されている。一方、ホモ株は、近縁なヘテロ株との混合により少数のハイブリッド接合子を形成しうることから、有性生殖過程において、ヘテロ株のような性分化が生じているものと示唆されていた。 ホモ株 (naga37s-1)における、栄養増殖期、有性生殖期、接合子発芽期の細胞を5種のステージに分けて回収し、Total RNAの抽出を行った。次に、Hiseq2500によるRNA-seq配列決定(ペア-ドエンド、101-bp)を行った。得られたRNA-seqデータベースから、CpMinus1類似配列を検索したところ、69.8%のアミノ酸配列が一致する遺伝子の発見に成功し、これをCpMinus1N遺伝子とした。ゲノムDNAからのクローニングを行ったところ、CpMinus1N遺伝子はCpMinus1と同じ位置にintronを持っていたことらか、祖先を同じくする遺伝子であると考察している。 Real time PCRにより、CpMinus1N遺伝子の発現解析をおこなったところ、栄養増殖期にはほとんど発現せず、有性生殖期に顕著に発現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、RNA-seq解析を行い、ヘテロ株における性特異的遺伝子をホモ株において発見した。また予備的にホモタリック株の遺伝子導入系の条件検討を行っており、計画通りの達成度である。
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今後の研究の推進方策 |
ヘテロ株における性特異的遺伝子をホモ株において発見し、これをCpMinus1Nと名付けた。また、発現解析にも成功した。今後はこの遺伝子の機能解析を行う。具体的にはホモタリック株における同遺伝子の発現抑制体の作出を試みる。また、RNAseq情報を解析し、ヘテロ株における性特異的な発現を示す遺伝子のホモ株における挙動を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は計画通りに進んでいるものの、研究打ち合わせや調査などにかかる費用に誤差が生じた。これは、移動費用を抑えた結果である。また、予定していたサンプル輸送なども数が少なかったため、誤差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
サンプル輸送は次年度以降に繰り越す。また、研究打ち合わせ等も引き続き頻繁に行う。
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