社会性昆虫の集団的意思決定の合理性は、各個体の選択肢の価値に比例した反応により達成されるとされてきた。しかし、各個体が反応閾値を境にしたOn/Off型の二値的反応しかできない場合でも、集団的意思決定者の各個体の飯能閾値に分散があれば、より価値の高い物を多数決で選ぶことができる。 シワクシケアリで働きアリのしょ糖液濃度に対する閾値を測定し、濃度の異なる2つの選択肢を与えたところ、動員の影響を無視できる最初の15分で、両選択肢を訪れた個体数に差はないが、6コロニー全てで高濃度の選択肢により多くの個体が反応した。この結果により、閾値反応の分散だけで、最適選択が可能になることが示された。
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