送粉効率が異なるさまざまな動物が花を訪れるとき、花はどのような順序で彼らと接するのが望ましいか? こうした「スケジュール最適化」の観点から植物の開花時刻の適応的意義を捉えた研究は、これまでほとんど例がなかった。本研究の広範な種間比較にもとづく、さまざまな植物種における開花時刻のパターンと他の花形質との関連の発見は、多様なパートナーに対する同時適応におけるジレンマ=訪花者間トレードオフを最小限におさえるための花の戦略を明らかにした、先駆的な成果と言える。トレードオフを回避不能な制約としてではなく、解消可能な進化のターゲットと見なすことにより、従来の生物学にはなかった新たな視点を提供する。
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