研究課題/領域番号 |
26440233
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
徳永 幸彦 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90237074)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | collective philopatry / random forest / habitat selection / long term data / Area cinerea / Bayesian / Evidentialist / Fisheian |
研究実績の概要 |
平成26年度は、以下の内容の調査研究、および成果報告を行った。 <個体数調査と解析>スカイサーファーを用いて、調査地内の全てのコロニーについて、空撮による個体数調査を行った。各コロニーにおいて、コロニーへの出入り頻度を現地調査することによって、種構成調査を行った(スカイサーファーのオペレーターである益子美由希博士に謝金)。7月には名古屋の高速道路脇のサギコロニーの保全に関わる研究団体からの訪問をうけ、個体数調査方法などについて、活発な意見交換を行った。また、イタリアにおけるサギ類の長期個体群動体データをMauro Fasola博士から提供頂き、昨年当研究室で博士を取得したLuis Carrasco博士の協力のもと、Random Forestの技術を使って茨城県のデータとの比較検討を行った。その結果を11月9~13日にイタリアのErice, Sicilyで開催されたWorkship: The impact of climate changes on animal populations において、"Impact of climate change on waterbirds populations"という演題で、招待講演を行った。 <GISデータの整備とGIS手法の整備>茨城県と千葉県の土地利用とサギのコロニー分布を比較し、コロニー選択のアルゴリズムを推定し、その結果を欧文専門誌に発表した。また、上記イタリアのデータを解析するため、のGISデータの整備を行った。解析において使った統計手法について、Mark L. Taper博士、Robert M. Dorazio博士、山村光司博士らとともに、昨年度の個体群生態学会で行った統計シンポジウムの特集として、Population Ecology誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文発表としては、茨城県と千葉県のサギのコロニー分布の決定メカニズムに関する論文を発表しただけでなく、解析に関わる統計論文の特集を発表できた点が評価できる。学会活動としては、イタリアはEriceで行われたWorkshopでの招待講演を行っただけでなく、国内においても個体群生態学会、および日本生態学会において、ポスター発表を行った。何よりも上記招待講演を契機に、イタリアのFasola博士との共同研究の準備が始まった点が、特筆に価する。
スカイサーファー以外の空撮の技術について、カイトフォトに利用する凧やカメラの選定を行ったが、まだ決定的なシステムの構築には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる平成28年度は、スカイサーファーによる個体数調査を継続する傍ら、風につよいカイトによる撮影技術を完成させるとともに、クワッドコプターなどのドローンによる撮影も試みる。解析方法として、individual-based modelを使った手法の導入を試みるほか、Google Earthからサギコロニーを半自動抽出できるようなシステムの構築を目指す。また、Fasola博士との共同研究を将来に向けて発展させる。最終年度の締めくくりとして、3年間の研究成果を、Symposium and Workshop: The Biology and Conservation of Herons of the World (20-23 September 2016, New Bern, North Carolina, USA) にて発表予定である。
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