研究課題/領域番号 |
26440236
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中丸 麻由子 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (70324332)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コモンズ / 持続可能な生物資源利用 / 社会ー生態結合モデル / 数理モデル / シミュレーション / 実験 / 調査 |
研究実績の概要 |
(1)アナツバメの巣の持続可能な利用に関する数理モデルの解析:数理モデルを修正しながら解析を行った。すると、保全タイプの巣の採取のほうが、非保全タイプの巣の採取に比べて利益が上がる生態学的条件を見つけた。つまり、持続可能な巣採取の仕方に加えて、アナツバメの生態特性が、持続可能な生物資源利用に大きく影響している事を数理的に示した。 (2)コモンズにおける生物資源利用形態に関する研究:コモンズとしての生物資源を利用するにあたり、全員が一斉に使うというよりは、手入れは全員でおこなうとしても利用者は一人ずつ輪番となっている場合もある。そのような状況において、持続可能に資源を使うためのルールとは何かについての実験を行った。すると、コモンズを利用するメンバーを取捨選択することが重要である事を示した。また、輪番で資源を受け取るという構造があると、自発的に罰が働く事があり、それによって資源利用に対する協力が上がる事も示した。英文原著論として仕上げ、投稿準備中である。 (3)棚田の保全モデルについて構築した。解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)H26年度の研究計画のうちアナツバメのモデルの解析というのがあった。これについては格子モデルを用いて空間構造の影響を解析するというアイディアだったが、メタ個体群モデルを構築して解析を行った。結果はある程度は出そろっているが、英文論文としてまとめるにはまだデータ解析が不十分である。 (2)コモンズの輪番制の利用形態に関する実験については、英文論文を執筆し、投稿寸前の状態である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)アナツバメの巣の持続可能な利用に関する数理モデルの解析を引き続き行い、英文論文を執筆する。そして、このモデルの発展として、採取者のダイナミクス(つまり、採取者が採取方法を変更する事を組み入れたモデル)を解析を行う予定である。 (2)コモンズの輪番制の実験について、異なる条件において実験を行う。また、それに対応したシミュレーションモデルも作成し、解析を行う予定である。そしてシミュレーション結果と実験結果の比較を行う。 (3)H26年度に行った棚田モデルの結果をまとめる。 (4)コモンズの利用形態として、輪番制の当番をして一人ずつでコモンズの保全活動を行う場合もある。このような状況はボランティアジレンマという枠組みで研究がされている。これについての検討も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
英語論文の執筆が遅れてしまい、H26年度予算で英文校閲業者に依頼する事が出来なかった。妊娠中のため、生態学会への参加を取りやめたため。
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次年度使用額の使用計画 |
英文論文の英文校閲を行う。性能の良いコンピュータを購入する。生態学会の旅費にあてたい。
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