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2017 年度 実施状況報告書

管理・利用形態と空間構造がコモンズの持続可能性へ及ぼす影響に関する理論・実験研究

研究課題

研究課題/領域番号 26440236
研究機関東京工業大学

研究代表者

中丸 麻由子  東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (70324332)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワードコモンズ / 持続可能な生物資源利用 / 社会ー生態結合モデル / 数理モデル / シミュレーション / 実験 / 調査
研究実績の概要

(1)コモンズにおける生物資源利用形態に関する研究の続き:資源利用形態の一つに全員でコモンズを管理し輪番で一人ずつその便益を受けるというのものがある。受益者を決める時に予め順番を決めておく場合や毎回くじで決める場合がある。予め決めておく場合に関して被験者実験を行い、論文も執筆が終わり、ある国際英文雑誌に投稿したところ、編集者から修正要請があった。修正中であり、終わり次第再投稿する。
(2)(1)のシステムに似たものとして、くじで受益者を決めるが、一度受益者になってもまた受益者になる可能性があるものがある。これはSugden(1986)によって相互扶助ゲーム(mutual-aid game)と名付けられている。進化ゲームを用いて解析した内容を国際英文雑誌へ論文投稿し、受理された。2018年8月に出版予定である。2017年10月には数理生物学会、そして2018年3月には生態学会でも発表を行った。
(3)分業とコモンズの維持については国際英文雑誌に論文を投稿し2017年度中に受理および出版された。
(4)棚田の保全モデルについては共同研究として解析を進めており、論文執筆中である。
(5)アナツバメの巣の持続可能な利用と社会ルールに関する研究は論文執筆中である。
(6)ミクロネシア連邦は世界最貧国であるが、島によっては衣食住に困らないために治安も良い。食物が自給自足できるからである。また、地域のつながりも密であることもある。ポンペイ島に訪問し、研究材料を探した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)については2、3つの国際雑誌からrejectが続いたが、ある国際英文雑誌に投稿したところ、編集者から修正要請があった。修正中であり、終わり次第再投稿する。編集者や査読者からのリスポンスが良いもののため、受理される可能性が高いと思われる。
(2)については国際英文雑誌へ論文投稿し、受理された。2018年8月に出版予定である。
(3)についても国際英文雑誌へ論文投稿し2017年度中に受理および出版された。
(4)棚田の保全モデルについては共同研究として解析を進めているが、解析および論文執筆もかなり進んでおり、今年度中の投稿を目指せる段階である。
(5)アナツバメの巣の持続可能な利用と社会ルールに関する研究は論文執筆中である。今年度中の投稿を目指せる段階である。

今後の研究の推進方策

(1)に関する研究を拡張し、ランダムに受益者を決めるが一度受け取ると受け取れない場合についての実験を行い、データもある。共同研究者と共に論文の執筆を始める。
(2)相互扶助ゲームの拡張を行う。具体的には、昨年度の研究ではグループメンバー全員の評判を知っているという状況を仮定したが、グループサイズが大きいと現実的ではない。全員の評判が得難い状況における解析を行う。
(3)分業とコモンズに関する研究の拡張を行う。具体的には、モデルの一般化である。
(4)棚田の保全モデルについては共同研究として解析を進めているが、解析および論文執筆もかなり進んでおり、今年度中の投稿をしたい。
(5)アナツバメの巣の持続可能な利用と社会ルールに関する研究は論文執筆中であり、今年度中の投稿を目指す。
(6)ミクロネシア連邦のチューク島を訪問し、引き続き研究テーマを探す。

次年度使用額が生じた理由

理由:H29年度については他の研究助成金でポータブルタイプのコンピュータを買え替えたり、学会等へ参加した。英文校閲費用については大学からの支援を受けた。
使用計画:今年度は他の研究費があまり潤沢ではないため、学会参加や論文英文校閲、新しいコンピュータの購入等に研究費を使う予定である。この研究費はH30年度が最終年度であり、今年度の秋に来年度の科研費の申請を行うが、採択されるとは限らない。H30年度に未使用金が発生し、かつ、科研費が不採択の場合はH31年度は補助事業期間延長を行いたい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] The effect of sanctions on the evolution of cooperation in linear division of labor.2018

    • 著者名/発表者名
      Nakamaru, M. Shimura, H., Kitakaji, Y. and Ohnuma, S.
    • 雑誌名

      Journal of theoretical biology

      巻: 437 ページ: 79-91

    • DOI

      doi.org/10.1016/j.jtbi.2017.10.007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 環境撹乱下で非分散型が有利になる生態的条件とは? -コロニーベースモデルによる検証-2017

    • 著者名/発表者名
      中丸麻由子
    • 雑誌名

      日本生態学会誌

      巻: 67 ページ: 133-145

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 人間行動進化学と分子生物学2017

    • 著者名/発表者名
      中丸麻由子
    • 雑誌名

      児童心理学の進歩 2017年版

      巻: 56 ページ: 294-299

    • 査読あり
  • [学会発表] 大集団における協力を可能にするシステムと生態系管理や保全への適用可能性について2018

    • 著者名/発表者名
      中丸麻由子、志村隼人
    • 学会等名
      日本生態学会第65回全国大会会
  • [学会発表] Mutual-aid game における協力の進化:評判ルールと集団サイズの影響について2017

    • 著者名/発表者名
      中丸麻由子、志村隼人
    • 学会等名
      第27回日本数理生物学会大会
  • [学会発表] 環境撹乱下で分散する子孫の数と大きさのトレードオフ2017

    • 著者名/発表者名
      有子山俊平、中丸麻由子、辻和希
    • 学会等名
      第27回日本数理生物学会大会
  • [学会発表] The Decision Making of Admission to Membership and Participation in a Group Influences the Evolution of Group Cooperation2017

    • 著者名/発表者名
      Mayuko Nakamaru and Akira Yokoyama
    • 学会等名
      SWARM 2017: The 2nd International Symposium on Swarm Behavior and Bio-Inspired Robotics
    • 国際学会
  • [学会発表] 空間構造上での噂による協力行動の進化と様々な嘘の噂の影響について2017

    • 著者名/発表者名
      山田祥伍、関元秀、中丸麻由子
    • 学会等名
      日本人間行動進化学会第10回年次大会

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公開日: 2018-12-17  

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