研究課題/領域番号 |
26440236
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中丸 麻由子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (70324332)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 持続可能な生物資源利用 / 社会ー生態結合モデル / 数理モデル / シミュレーション / 実験 / 調査 |
研究実績の概要 |
(1)コモンズにおける生物資源利用形態に関する研究の続き:資源利用形態の一つに全員でコモンズを管理し輪番で一人ずつその便益を受けるというのものがある。受益者を決める時に予め順番を決めておく場合や毎回くじで決める場合がある。2019年度に論文が受理され、PloS ONEに掲載された。 (2)(1)のシステムに似たものとして、くじで受益者を決めるが、一度受益者になってもまた受益者になる可能性があるものがある。これはSugden(1986)によって相互扶助ゲーム(mutual-aid game)と名付けられている。進化ゲームを用いて解析した内容を国際英文雑誌へ論文投稿し、2018年出版された。 (3)棚田の保全モデルについては共同研究として論文をまとめ、投稿中である。 (4)アナツバメの巣の持続可能な利用と社会ルールに関する研究は論文としてまとめ、ほぼ論文執筆も終えている。2019年4ー5月中には投稿する予定である。 (5)ミクロネシア連邦は世界最貧国であるが、島によっては衣食住に困らないために治安も良い。食物が自給自足できるからである。また、地域のつながりも密であることもある。2017年度のポンペイ島訪問に加えて、2018年度はチューク島とコスラエ島にも訪問し、持続可能な資源の利用に関連する人々の意識に関する研究をすることになり、ただいま、研究を進めている。これは、本研究テーマとも大いに関連がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)についてはPlosONEに受理され、掲載された。 (2)についてはJournal of theoretical biologyへ論文投稿し、受理、掲載された。 (3)棚田の保全モデルについては国際雑誌に投稿中である。 (4)アナツバメの巣の持続可能な利用と社会ルールに関する研究は投稿寸前となっている。 (5)については、研究がスタートしている。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)に関する研究を拡張し、ランダムに受益者を決めるが一度受け取ると受け取れない場合についての実験を行い、データもある。共同研究者と共に論文の執筆中である。 (2)相互扶助ゲームの拡張を行う。具体的には、2018に出版された研究ではグループメンバー全員の評判を知っているという状況を仮定したが、グループサイズが大きすぎるのは現実的ではない。全員の評判が得難い状況における解析を行う。また、相互扶助ゲームでは3者以上の相互作用が要となっている。従来では、集団の相互作用は2者間の相互作用の集合したものとして捉えれてきたがそうではないことがわかっている。そこについて詳しく調べる。 (3)分業とコモンズに関する研究の拡張を行う。具体的には、モデルの一般化である。 (4)棚田の保全モデルについては投稿中である。この研究を拡張し、 (5)アナツバメの巣の持続可能な利用と社会ルールに関する研究の続きとして、人の意思決定のダイナミクスを加えたモデルを解析する。 (6)ミクロネシア連邦4州全ての州都を訪問し、本プロジェクトにも関連する研究テーマを決めた。これについて進めて行く。
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由:2018年度については主に他の研究助成金を利用した。昨年度はこの研究費で高額なコンピュータを購入したが、例年参加している学会や関心のある学会が大学の用事や他の出張と重なってしまったため、学会参加費として使用することができなかった。
使用計画:今年度がこの研究費の最終年であり、学会参加や論文英文校閲、新しいノートパソコンやコンピュータの購入等に研究費を使う予定である。
|