気象条件が渡り鳥の移動におよぼす影響について、現在および将来の状態を評価した。ハチクマは秋の渡りの際に、五島列島から東シナ海を直接横断し、中国に到達する。その際の気象条件を調査したところ、同海域上空には秋期にハチクマにとっては追風となる風が安定的に吹いており、移動の際の助けになっていることが分かった。ところが IPCC の温室効果ガス排出シナリオのもとでの気象予測データをもとに解析したところ、今世紀末には、このような風が同種の秋の渡りの時期にほとんど吹かなくなることが分かった。本種の渡り経路あるいは渡り時期が、なんらかの影響を受ける可能性が示唆された。
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