研究課題/領域番号 |
26440250
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
高橋 純一 京都産業大学, 総合生命科学部, 准教授 (40530027)
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研究分担者 |
土田 浩治 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00252122)
野村 哲郎 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (50189437)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 外来種 / 対馬 / スズメバチ / 侵入種 / 特定外来生物 / 侵略的外来種 |
研究実績の概要 |
われわれの研究グループは、長崎県対馬市(対馬島)において、2012年に日本では未記録であったツマアカスズメバチの働き蜂を発見し、翌年には巣を捕獲し,その後の帰化状況について調査を行った。ツマアカスズメバチは、東南アジアを中心に広く自然分布をしているが、近年は韓国、フランス、ポルトガル、スペイン、イタリア、イギリスで本種の中国産亜種が、侵入外来種として帰化している。そして刺傷被害や生態系への影響が問題となっている。対馬市で捕獲したツマアカスズメバチの働き蜂の外部形態を比較したところ、中国亜種のツマアカスズメバチVespa velutina nigrithoraxであることがわかった。さらに2013年には対馬島で同種の働き蜂の再確認とともに複数の成熟巣を発見、一部を調査のために採集した。採集した巣の解体調査により、対馬島内で繁殖していることを明らかにした。また、本種はミツバチを捕食する性質を持つことから、島内の養蜂場を中心に分布状況について調査したところ、島内全域で分布が確認され、さらに優占種となっていることがわかった。在来種への影響については、キイロススズメバチが減少していることがトランセクト調査により明らかになった。侵入経路を推定するために、対馬および北九州で発見されて個体のミトコンドリアDNAの遺伝子解析を行ったところ、中国・韓国の個体と同一であることから中国産の個体が韓国経由で侵入したことがDNA解析からも示唆する結果をえた。さらに本種の攻撃性および刺傷被害事例については、刺傷被害を受けた対馬島民からの聞き取り調査から、在来種と同等であることがわかった。
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