動物の体色に見られる個体間変異を説明する仮説の一つに、異なる淘汰圧間のトレードオフがある。このトレードオフが生物の世代時間より長い周期を持つことで体色変異が進化し維持される、という仮説を検証した。近縁種間で体色変異の程度に違いがあるゴミグモ属4種の生態を比較したところ、世代時間の長さと変異の程度には負の関係が見られた。一方、体色と採餌効率、生理的コストの関係から、トレードオフパターンは季節変異により周期一年で変化すると考えられるので、このことと生涯交尾回数に関する観察結果を含み体色が遺伝することを仮定した個体群動態シミュレーションを行ったところ、仮説を支持する結果が得られた。
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