研究課題
本研究では、オセアニア・アジア集団を対象に、網羅的に皮膚色素形成遺伝子多型を調べ、オセアニア・アジア集団の皮膚色素多様性を生み出す遺伝基盤の理解を図るとともに、メラネシア集団で観察される濃い茶褐色の皮膚色素形成を関連するアリル、およびアジア集団で観察される明るい皮膚色素形成と関連するアリルの進化史の解明を目指す。今年度は、欧州集団でtanning abilityとの関連が報告されているSNPについて、オセアニア集団の遺伝子型解析を行った。HapMapのヨーロッパ集団(CEU)、東アジア集団(JPT、CHB)、アフリカ集団(YRI)については、International HapMap Projectyより遺伝子型データを取得した。欧州集団でtanning abilityとの関連が報告されているアリル保有数(total tanning ability allele)と、tanning ability関連アリルの効果の程度を数値化した、Tanning ability Score (Σβixij) の比較を行った。total tanning ability allele数はYRIが最も多く、予想通りCEUが最も少なかった。オセアニア集団と東アジア集団はその中間の値を示した。tanning ability score (Σβixij) は、トンガ集団(ポリネシア)とラワキ集団(ミクロネシア)が、日本人・中国人(東アジア集団)よりも低かった。本結果は、ポリネシア集団とミクロネシア集団には未知の皮膚色素関連遺伝子多型が存在する可能性を示唆していた。
2: おおむね順調に進展している
オセアニア集団とアジア集団の皮膚色素関連遺伝子多型解析を行った。皮膚色素測定値と遺伝子型の関連解析から、アジア集団については候補遺伝子のtag SNPの選択、機能的意義を有するSNPの探索を含めて精細な多型解析を行っており、おおむね順調に進展している。
候補遺伝子の精細な多型解析を行うとともに、オセアニア・アジア集団における皮膚色素関連SNPの進化遺伝学的解析を行う。
対象選定SNPの選定に時間を要したため、SNP解析試薬を平成28年度に購入する必要が生じた。
皮膚色素関連候補遺伝子の多型解析に使用する試薬・実験物品の購入に使用する。
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