研究実績の概要 |
平成27年度は、座位型の正弦波下半身陰陽圧装置(SLBNPP)を用いて持続的な起立性の負荷(SLBNPPの平均値)と周期的に変化する負荷(SLBNPPの振幅)に対する脳血液循環調節能を被験者10名で検証した。持続的な負荷については3水準(-20 mmHg, 0 mmHg, +20 mmHg)、周期的に変化する負荷については2水準(0.056-Hz, 0.011-Hz)とした。SLBNPPによって引き起こされた動脈圧の変動が脳血流速の反応性に及ぼす影響について検討した。血圧変動に対する脳血流速の変動には、持続的な負荷の違いによる影響はみとめられなかった一方で、周波数の違いによる影響がみとめられた。より低い周波数帯域の血圧変動に対して脳血流速の高い反応性が示された。持続的な負荷の違いによる影響がみとめられなかったのは、昨年度の姿勢の違いよる影響を検証した結果と同様であった。座位型の装置を用いても、従来からの仰臥位型と同等の結果が得られることが示され、今後の関連する装置を用いた研究の基礎資料として有意義な結果が得られた。また、これら持続的な負荷と周期的に変化する負荷に対する脳血液循環調節能に全身加温の有無が及ぼすについては、持続的な負荷を2水準(-20 mmHg, +20 mmHg)に減らし、予備的な検討を行った。心拍数の調節については、先行研究と同様に全身加温の影響が認められたが、脳血流調節においては統計的に違いを見いだせるほどのSN比は得られなかった。
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