重力に対するヒトの環境適応能として起立性の脳血液循環調節に注目し、静的な負荷が異なる条件下で動的な脳血流調節について検討した。静的な負荷は、姿勢、定常圧、および全身加温を対象とし、動的な負荷は正弦波下半身圧を用い、90秒と18秒周期の変動を対象とした。脳血液循環調節は平均血圧に対する中大脳動脈血流速のゲインから評価した。90秒周期のゲインは仰臥位と比し座位では抑制されたが、下半身への血液貯留が異なる定常圧の違いによる影響は認められなかった。また18秒周期のゲインは全身加温により抑制された。動的な脳血流調節は静的な負荷の違いにより異なる特性を示し、より広範な視点から検討する必要性が示された。
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