研究課題/領域番号 |
26440264
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研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
勝俣 康之 大阪国際大学, 人間科学部, 講師 (80459130)
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研究分担者 |
小倉 幸雄 大阪国際大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00300301)
井上 芳光 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (70144566)
上田 博之 大阪信愛女学院短期大学, その他部局等, 教授 (00203448)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 女性 / 陸上長距離選手 / 陸上短距離選手 / シンクロナイズドスイミング選手 / 自転車運動 / 発汗反応 / 皮膚血流反応 / 単一汗腺あたりの汗出力 |
研究実績の概要 |
本研究では,女子のシンクロナイズスイミング選手,陸上長距離選手,陸上短距離選手に対し,28℃,45%RHの人工気象室内で35%・50%・65%VO2max自転車運動をそれぞれ20分ずつ,計60分間負荷した.直腸温と平均体温(Tb)は各群とも運動強度の増大に伴い有意に増加したが,安静時および各運動強度時にも有意な群差は認められなかった.前額・胸・前腕における発汗開始時間およびTb閾値は短距離群 vs. 長距離群 vs. シンクロ群の間に有意な群差はみられなかった.3群とも運動強度の増大に伴い前額・胸・前腕の発汗量(SR)は有意に増加した.いずれの運動強度時も前額のSRは有意な群差が認められなかったが,胸と前腕では長距離群が短距離群およびシンクロ群より有意に高かった.前腕のSRでは,60%VO2max時のみシンクロ群が短距離群よりも低い傾向だった.胸および前腕で測定した活動汗腺数は,全ての運動強度で3群間に有意な差はみられなかった.単一汗腺あたりの汗出力は,胸ではいずれの強度においても長距離群 > 短距離群 = シンクロ群,前腕では45%・60%VO2maxで長距離群が短距離群およびシンクロ群より有意に高く,60%VO2maxでシンクロ群が短距離群より有意に低い値を示した.皮膚血流量の増加率(%CVC)は,3群とも前額・胸・前腕において運動強度の増大に伴い有意に増加した.しかし,全ての部位および運動強度で3群間に有意な差はみられなかった.以上の結果,長距離群は短距離群よりも運動時の熱産生量が多いにもかかわらず,短距離群より優れた熱放散反応により,短距離群と同等の体温上昇に抑えることができた.この優れた熱放散機能は皮膚血管拡張より末梢の汗腺機能で顕著だった.シンクロ群は同等のVO2maxを有する短距離群より劣った発汗機能を有することが窺われた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は研究実施計画通り,女性の陸上長距離選手,陸上短距離選手,水中運動選手における低・中・高強度運動時の発汗・皮膚血管拡張反応を比較し,陸上運動種目の相違(長距離選手 vs. 短距離選手)および運動様式の相違(水中運動 vs. 短距離選手)が熱放散反応に及ぼす影響の解明に努めた.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究で見出した,熱放散反応における運動様式・種目差のメカニズムを全身協関的視点で求心性(入力系),出力系,効果器系から検討する.すなわち,女性の水中運動実施者,陸上競技の中長距離選手,短距離選手,一般人に対し,(1)皮膚の温覚・冷覚閾値テスト,(2)イオントフォレーシステストを実施する.(1)のテストでは入力系の指標として皮膚の温度感受性を,(2)のテストでは出力系の指標として交感神経節後線維の要素と効果器系の指標として汗腺レベルの要素をそれぞれ求め,4群間で比較する.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度はデータ収集後の解析が若干遅くなり,学会発表までいたらなかったため,旅費の使用が年度内で間に合わなかった.また,測定機器の購入が実験に間に合わなかったために借用して実験を行った.
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表時の旅費として,さらに遅れていた機器購入に残金をあてる.
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