研究課題/領域番号 |
26440265
|
研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
前田 薫 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00454687)
|
研究分担者 |
藤原 勝夫 金沢学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60190089)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 姿勢制御 / 立位 / 予測 / 注意 / 準備 / 加齢 |
研究実績の概要 |
【目的】立位での上肢運動に伴う姿勢制御と随伴陰性変動(CNV)へ初期立位位置の違いが及ぼす影響を高齢者において検討した。【方法】被験者は健康な高齢者13名(年齢:58-75歳)であった。被験者らは床反力計上で立位を保持し、警告信号(S1)-反応信号(S2)パラダイム(信号間隔2秒)にてS2に対する遅れが可能な限り小さくなるように両側の上肢を前方へ急速に挙上した。被験者は次の立位位置をS2の提示まで保持した。その位置は、足圧中心の踵から足長(FL)に対する相対位置(%FL)で表され、安静立位位置(QSP)、30%FL、60%FL、70%FLと設定された。いずれかの位置にて10試行実施後、他の位置での10試行が実施された。各位置20試行となるまで実施した。位置の順序はランダムとした。分析項目は筋電図、および脳波をS1前500msの平均値を基準(0V)として加算平均して得られた随伴陰性変動(CNV)であった。【結果】三角筋に先行する活動が、脊柱起立筋では全ての位置で認められ、大腿二頭筋では60%FLから前方、腓腹筋では70%FLでのみ認められた。CNVのピークは70%FLにて最も早期に認められた。ピーク振幅はQSPにて最も高く70%FLにて最も低かった。【考察】立位位置がより前方になると、予測的注意および運動準備に関する脳活動が比較的早期に、姿勢制御の遂行過程などへ移行することが示唆された。このようなS2以前のCNVピークは若年成人では認められなかった(H26年度結果)。下腿三頭筋の先行活動は70%FLにおいてのみ認められた。これとは異なり、若年成人では安静立位位置よりも前方の全ての位置にて下腿三頭筋の先行活動が認められている(H26年度結果)。高齢者と若年者の間では、安静立位よりも前方の位置での姿勢制御において、予測的注意および運動準備の過程が異なることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度内に必要最低限の測定を遂行し、大まかなデータ分析を行うことができた。それによって、前年度結果との比較をすることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度中に以下のことを行う。①H26年度の内容を論文化する。②H27年度のデータ分析を完了する。③H28年度の測定を実施する。今年度は被験者の募集が最大の課題となる。これについては、研究代表者の所属研究機関の付属診療所に通院する患者および非常勤先の利用者に被験者依頼を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
①被験者数が申請時予定よりも少なくなった。②データを論文化できていないため、論文英文校閲費としての予算を執行しなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
①前頭葉に機能低下が認められる被験者を募るうえで、健常者よりも比較的高額な謝金を要することが予想される(付添いの人や移動にタクシーを使用する場合等)。 ②H26年度分と27年度分のデータの論文化を行うための論文英文校閲費が必要となる。
|