立位での急速な上肢運動を行うとき、上肢運動の主動筋に先行する姿勢筋活動は、20-42歳の成人において、初期立位位置が安静立位位置よりも前方となるにつれ、下腿三頭筋に認められるようになった。そのような姿勢制御の変化と一致して、準備および注意を反映する脳電位は、姿勢制御の準備時間の比較的早期から高い値を示すようになった。一方、58-75歳の成人では、若年成人で認められた姿勢筋活動と脳活動の変化が認められなかった。以上のことから、立位姿勢の平衡が前方へ乱れやすい状況に対応するための姿勢制御様式と準備および注意に関する脳活動が若年者と高齢者で異なることが示唆された。
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