進化の過程で直立二足歩・走行を獲得できた現生生物はヒトだけである。ところが、腰痛、痔、立ち眩み、膝痛、転倒、遅い最大疾走速度など、多くの不利益を抱えることになった。数少ない利点の一つは高い移動効率であるとされる。さて、歩行ではエネルギーコストが最少になる速度があり、経済速度と呼ばれている。また、歩・走行のエネルギーコストには結節点となる速度があり、移行速度と呼ばれている。本研究では低・高酸素暴露、傾斜などの介入による経済速度と移行速度の変化を定量化し、その機序を検討した。また、移行速度で「速歩」または「遅走」した場合の下腿筋活動量や平均周波数の差異から、移行速度の活動筋側の機序を探究した。
|