本研究は、成長期における筋量獲得や骨量・脂肪量および生活習慣因子との関連性について解明するものであり、小・中学生を対象として、①二重エネルギーエックス線吸収測定法による筋量および体組成を測定し、②食事・身体活動を中心とした現代都市社会での生活習慣を評価し、獲得筋量の多様性と骨量・脂肪量との関係、および生活習慣因子との関連性を評価することを目的とした。また、大学生を対象として小・中・高校生時を含めた過去の生活習慣や日常生活における活動量、体力、食行動、骨量について調査し、現在の筋肉量への関係性についても検討を加えた。獲得筋量がピークにあると思われる大学生を調査対象として加えることで、筋量の獲得に影響を及ぼすと考えられる過去および現在の生活習慣要因を検討し、加齢に伴い骨格筋量が低下する病態であるサルコペニア予防対策に関するエビデンスを提供できるのではないかと考えた。 本年度は、京都市内の大学生を対象とした平成26年度、平成27年度、平成28年度の3年間に実施した体組成測定、質問紙調査、体力測定および活動量の調査から得られた調査結果の一部の解析を試みた。本研究は京都女子大学の臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。大学生を対象とした体組成測定においては、測定が簡易であり二重エネルギーエックス線吸収測定法の結果から推定式が設定されている生体インピーダンス法を用いて行った。その結果、女子学生においては、筋量が多い者は骨量が多かった。また、筋量の多さは体脂肪量の多さにも関連していたが、体力があることとも関連していた。さらに、若年女性における筋量の獲得には小学生時の運動経験が影響することが可能性の一つとして示唆された。
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