短粒変異体srs2、srs4、srs6について短粒の原因となる遺伝子の探索を行った。 srs2は27年度までにBRASSINOSTEROID-SIGNALING KINASE 2 : BSK2(ブラシノステロイドシグナル伝達キナーゼ2)のオーソログ遺伝子(OS10g0571300)内にナンセンス変異を引き起こすSNPを検出した。これを証明するために、野生型BSK2遺伝子をsrs2に形質転換する相補性検定を試みた。しかしながら、srs2は発芽率の低下、カルス誘導能の低下、再分化能の低下がみられ、形質転換が困難であった。そこで、野生型系統のBSK2を遺伝子編集で破壊することで、検証を試みた。遺伝子編集個体を作出し、その表現型を調査したところ野生型個体よりも種子が有意に短くなっていた。この結果から、SRS2遺伝子はBSK2をコードしていると結論した。さらに、srs2変異体とd1変異体との二重変異体を作成したところ、種子長、草丈に関してd1変異体と酷似した表現型であった。このことから、srs2変異体はD1遺伝子がコードするヘテロ三量体Gタンパク質αサブユニットのシグナル伝達に関わる事が推測された。 srs6は27年度までにF-boxタンパク質をコードするEP3 遺伝子内に変異を見出している。この遺伝子変異がsrs6の原因であることを証明するために、形質転換による相補性検定を試みている。 srs4は27年度までに実施したインド型イネカサラスとの交配後代を用いた遺伝子マッピングが困難であった。この原因は、日本型-インド型の遺伝背景の違いにより、srs4表現型の出現頻度を低下させるような効果が表れていると推測した。野生型系統T65と、日本晴と交配した雑種集団の再構築を開始、srs4変異体と野生型品種T65と日本晴を交配し、F1種子を得た。
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