• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

ダイズ遺伝資源に認められる耐塩性遺伝子の単離とその機能解析に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26450013
研究機関独立行政法人国際農林水産業研究センター

研究代表者

許 東河  独立行政法人国際農林水産業研究センター, その他部局等, 主任研究員 (90425546)

研究分担者 山田 哲也  北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (70374618)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードダイズ / 耐塩性 / 遺伝子 / 単離
研究実績の概要

今年度では、F9世代の耐塩性QTL領域のResidual heterozygous lines (RHLs)の自殖に由来する5,828個体の分離集団を解析し、選抜した固定化組換え系統27系統を用いて耐塩性遺伝子の高精度マッピングを行った。方法としては、ダイズのゲノム情報に基づき、新たなDNAマーカーを開発・解析し、固定化した組換え系統を整列化した。また、固定化した組換え系統の耐塩性を温室で評価した。結果としては、ダイズのゲノム情報に基づき、58.8 kbのQTL領域間に7個のマーカーを開発した。この7個のマーカーを用いて27個の固定化組換え系統のジェノタイピングをし、整列化した。これらの固定化組換え系統に対して耐塩性の評価結果より、ダイズ耐塩性遺伝子(qNaCl3)を第3染色体の16.5 kbの領域に特定した。この領域に一つだけの遺伝子が存在することから、耐塩性の原因遺伝子を確定した。形質転換体の作出には、遺伝子発現ベクターとして耐塩性遺伝子qNaCl3を35Sプロモーターに連結し、さらに選抜マーカーbar遺伝子を含む発現プラスミドベクターを構築した。このベクターをアグロバクテリウムEHA105株に導入し、ダイズ品種カリユタカ(塩感受性)に感染させ、形質転換体を作出した。得たT2世代の形質転換体を水耕栽培し、遺伝子の発現と耐塩性を評価した。評価した材料は、形質転換T2世代系統54-1-1、34-2-7、20-1-4、16-1-8計4系統に加え、野生型品種カリユタカ、カリユタカのGFP遺伝子形質転換系統および耐塩性準同質遺伝子系統NIL18-TとNIL18-Sであった。耐塩性を評価した形質転換T2世代の4系統のうち、54-1-1と20-1-4系統は高い発現量と高い耐塩性を示し、qNaCl3はダイズ耐塩性の原因遺伝子であることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

耐塩性遺伝子の高精度マッピングについて、当初の研究計画は約1,000個体の分離集団より育成した組換え後代系統群を供試し、QTLの候補領域を絞り込むことであった。本年度では、初期の目的を達成する事ができたことに加えて、5,828個体の分離集団から選抜した固定化組換え系統27系統を用いて耐塩性遺伝子の高精度マッピングを行い、ダイズ耐塩性遺伝子を第3染色体の16.5 kbの領域に特定し、耐塩性の原因遺伝子を確定した。形質転換体の作出については、当初の研究計画は耐塩性遺伝子を導入した形質転換ダイズの作出を開始することに対し、本年度では耐塩性遺伝子形質転換T2世代を獲得した上、形質転換系統の遺伝発現と耐塩性を解析した。以上のことから、本研究は当初の計画より大きく上回った実績が得られた。

今後の研究の推進方策

高精度マッピングの解析により耐塩性の原因遺伝子を決定した上で、耐塩性遺伝子の発現、Na+、K+およびCl-の蓄積の制御などの機能解析を行う。また、DNAマーカー選抜により、耐塩性遺伝子を感受性ダイズ品種へ導入する。引き続き形質転換ダイズを作出し、耐塩性遺伝子を過剰発現させた形質転換ダイズの後代固定系統を育成する。単コーピの遺伝子を導入した形質転換系統の選抜と固定化をするとともに、既存の耐塩性遺伝資源より高い耐塩性系統の作成を目指す。また、同定した遺伝子の特性解析の一環としてレポーター遺伝子(GFP遺伝子)を導入した形質転換ダイズ系統を作出し、組織特異的、時期特異的な遺伝子発現の解析を行い、遺伝子の機能を検証する。

次年度使用額が生じた理由

購入した一部の物品については、実際の納品価格は定価より低くなった。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額は耐塩性遺伝子の機能解析に関わる経費に充てる。

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi