研究課題/領域番号 |
26450014
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研究機関 | 沖縄県農業研究センター |
研究代表者 |
浦崎 直也 沖縄県農業研究センター, その他部局等, 上席主任研究員 (20504591)
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研究分担者 |
太郎良 和彦 沖縄県農業研究センター, その他部局等, 上席主任研究員 (10504772)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ゲノム育種・マーカー育種 / 熱帯果樹 / ウイルス抵抗性 |
研究実績の概要 |
マウンテンパパイヤ(Vasconcellea cundinamarcensis)が持つウイルス抵抗性をパパイヤ(Carica papaya)の育種に利用するために、属間交雑個体(パパイヤ×マウンテンパパイヤ)へのパパイヤの戻し交雑とウイルス抵抗性マーカーの探索を実施した。 戻し交雑は、属間雑種の雌花にパパイヤ雄株の花粉を用いて人工授粉することで実施した。肥大が認められた果実から得られた種子を胚培養に供試した。授粉後180~210日の種子(5,762粒)を供試した結果、45の種子内に未熟胚が確認され、それらから32個体の再生植物体が得られた。DNAマーカーを用いて再生植物体の雑種性を判定した結果、32個体中19個体で戻し交雑個体の証拠となるパパイヤのY染色体が確認された。以上のことから、Y染色体を持つ19個体は戻し交雑個体と考えられた。 ウイルス抵抗性マーカーの探索では、ゲノムワイドな多型探索法であるRAD-seq法を採用した。材料は、パパイヤ奇形葉モザイクウイルスを接種したマウンテンパパイヤ(ウイルス抵抗性)、パパイヤ(ウイルス罹病性)そしてそれらの交雑個体(ウイルス抵抗性)の葉を由来とするcDNAとした。Mock接種葉由来のcDNAと合わせて合計6サンプルを解析した。その結果、サンプル当たり平均で、1,788,610種類のタグが58,908,643個得られた。得られたデータのコンピュータ解析により、ウイルス接種により発現が上昇するタグ、マウンテンパパイヤと属間交雑個体にのみ存在タグが得られた。さらに、ウイルス抵抗性遺伝子が存在すると考えられる領域(マウンテンパパイヤのコンティグ配列)からのアプローチにより、LRR and NB-ARC domain disease resistance protein遺伝子を由来とするタグがデータ中に存在することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科学研究費助成事業交付申請書の実施計画のとおり、マウンテンパパイヤ(ウイルス抵抗性)、パパイヤ(ウイルス罹病性)そしてそれらの交雑個体(ウイルス抵抗性)をRAD-seq法により解析した。そして、そのデータからウイルス抵抗性に関与すると考えらえるタグが多数得られている。平成27年度以降も研究を継続することで研究の目的を達成できるものと考えられる。以上のことから、達成度の区分を「順調に進展」とした。
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今後の研究の推進方策 |
戻し交雑に関する研究では、フローサイトメーターによる戻し交雑個体の倍数性の確認と常染色体上のマーカーを用いた雑種性の再確認を行う。さらに、人工接種により戻し交雑雑種個体のPLDMV抵抗性評価を行う。 ウイルス抵抗性マーカーの探索では、ウイルス抵抗性に関与すると考えらえるタグとそのアリル間多型を利用してマーカー化を行う。マーカー化は、判定能の高い共優性マーカーであるCAPSまたはSSRマーカーを採用する。戻し交雑個体においてウイルス抵抗性の分離が確認された場合には、開発したマーカーと抵抗性の連鎖解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に、RAD-seq解析を行い、その結果を基にPCRプライマーの購入及びRAD-seq解析の結果を学会において発表する予定であった。しかしながら、RAD-seqデータのコンピュータ解析の結果、ウイルス抵抗性マーカーの候補となるタグが想定を超えて得られたため、計画を変更し、コンピュータによるウイルス抵抗性マーカー候補の絞り込み解析を優先したため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、PCRプライマーの購入と学会発表(日本育種学会秋季大会)のための経費に充てる。平成27年度経費については、RAD-seqタグのDNAマーカー化と実験材料の育成に係る経費、そして連携研究者との業務調整と学会発表(日本育種学会春季大会)のための経費に充てる計画である。
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