研究課題
ウイルス抵抗性パパイヤ育成のために作出した戻し交雑個体(属間雑種×パパイヤ)のゲノム構造解明とPLDMV(Papaya leaf distortion mosaic virus)に対する抵抗性を評価した。ゲノム構造解明では、戻し交雑個体は戻し交雑親であるパパイヤゲノムを有しているが、異質3倍体、異質4倍体、異質5倍体となっていることを染色体観察により明らかにした。ウイルス抵抗性評価では、82個体の戻し交雑個体をPLDMV接種試験に供した。その結果、抵抗性と考えられる無病徴の個体(54個体)と接種上位葉に壊疽斑点が形成された個体(28個体)が存在した。観察を継続したところ、壊疽斑を形成した個体中で、2個体は枯死したものの、26個体では上位葉で新たな壊疽斑形成は確認されず、抵抗性であることを確認した。また、壊疽斑点内にウイルスが封じ込められていることをRT-PCRで確認した。戻し交雑集団では、パパイヤと同様にPLDMV感受性個体の存在が期待されたが、確認されなかった。戻し交雑個体は母本として用いた属間雑種の配偶子(ウイルス抵抗性遺伝子)を非還元配偶子として保持しているため、感受性個体が存在しないと考えられた。最後に、ウイルス抵抗性マーカーの開発を実施した。Razean HaireenとDrew(2014)は、マウンテンパパイヤのウイルス抵抗性遺伝子の候補としてserine threonine protein kinase (STK) 遺伝子を報告している。我々のRAD-seq解析の結果からも、同遺伝子の関与が示唆されている。そこで、パパイヤとマウンテンパパイヤのSTK遺伝子の塩基配列の違いを利用したCAPSマーカーを開発した。本CAPSマーカーは、被検植物体がマウンテンパパイヤ由来のSTK遺伝子を有するかどうかを判定することができる。
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Breeding science
巻: 66 ページ: 734-741
10.1270/jsbbs.16107