本研究では、ダイズが被る2種類の湿害、植物体根域冠水害と種子冠水害の発生機序に関する基礎的知見を得るため、根や種皮の透水性に着目し、耐湿性との関連性について調査した。根域低酸素負荷水耕装置による簡易サーベイを行なった結果、耐性品種では根域が低酸素環境になると根量が増え、更に特定のアクアポリンが増えることで、根の透水性を保てることがわかった。また、種子冠水耐性に優れる品種に由来する遺伝子座には、耐性を高めるQTLが複数存在し、そのうちの1つは硬実性と共通のQTLであった。このように、異なる2つのダイズ耐湿性には、器官の透水性が密接に関与している可能性が示唆された。
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