研究実績の概要 |
本研究は、根寄生雑草ストライガ(Striga hermonthica)の被害が広がるサブサハラアフリカ地域において安定した陸稲栽培を行うため、有望品種作出につながる知見を収集することを目的としている。 平成26年度には、ストライガ抵抗性陸稲品種UmgarとNERICA5について、土壌中のストライガ種子密度が増加した場合も、両品種のストライガ抵抗性が持続することを確認した。平成27年度は、窒素施肥量がストライガと宿主の関係に影響を及ぼすことに着目し、異なる窒素施肥量でストライガ抵抗性品種を栽培した。UmgarおよびNERICA5は窒素施肥量が変化した場合も安定したストライガ抵抗性を示すことを確認した。 研究期間を通して、NERICA4(ストライガに寄生されやすいが、幅広い環境で安定した収量を示す)を種子親、 UmgarやNERICA1(ストライガ抵抗性が高く、市場価値のある香り米の性質を持つ)またはNERICA5(ストライガ抵抗性が高い早生品種)を花粉親とする交配を進めてきた。NERICA5を親とする交配種子を得ることはできなかったが、NERICA4/UmgarおよびNERICA4/NERICA1の交配については、昨年度までに複数のF1種子を確保し、最終年度にF2, F3種子を確保した。 NERICA4/NERICA1の交配系統について、F2世代のストライガ種子発芽誘導活性を評価した。ストライガ感受性親品種NERICA4は発芽率18・7%(18.7%のストライガ種子を発芽させた)のに対して、ストライガ抵抗性親品種NERICA1では発芽率6.8%と明確に低くかった。F2世代140系統では発芽率が0.0~24・0%と変動し、発芽率が2%以下と極めて低いものが22系統確認された。今後はこのような有望系統を用いて、アフリカ現地でのストライガ抵抗性評価を進める。
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