研究課題/領域番号 |
26450024
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
鬼頭 誠 琉球大学, 農学部, 教授 (50252797)
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研究分担者 |
金城 和俊 琉球大学, 農学部, 准教授 (30582035)
道山 弘康 名城大学, 農学部, 教授 (50167665)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ソバ / 間作 / 緑肥 / 窒素 / リン / 不耕起栽培 / 減肥栽培 / 有機質肥料 |
研究実績の概要 |
沖縄でのソバ栽培には透水性など物理性と低リン肥沃度の改善が必要と考えられている。夏季に緑肥を栽培し、有機物供給と根系発達による改善効果を低リン肥沃度土壌を用いて明らかにすることを検討した。 低リン肥沃度土壌でのソバ栽培では、黒ボク土と沖縄の赤色土を用いた試験の結果、いずれとも少量のリン施肥でソバは比較的良好な生育を示し、Al型リンの多い赤玉土を用いた試験の結果からもソバは低リン耐性の強いことが示された。さらに養液栽培の結果、ソバは鉄型リン酸よりAl型リン酸をより吸収する特性があることを示す結果が得られた。 また、窒素施肥量の低減のための間作作物として緑肥を栽培した試験では、リン吸収量より窒素吸収量の高いクロタラリア属植物が有利であり、中でもCrotaralia brevidensとC. pallidaで、現在市販されているC.junceaよりソバへの肥料効果が高いことが示された。なお、この緑肥の施用効果は不耕起栽培でより強く示された。 ソバはリンより窒素の要求性が高いこと、不耕起栽培で生育、収量が高まることを踏まえ、不耕起施肥・播種機の使用を視野に入れた、リン成分のやや少ない牛糞ペレット堆肥の側条施肥栽培を行い、間作にはラッカセイを組み込んだ栽培試験を行った結果、全層施肥の半量の施肥量でソバとラッカセイの収量が確保できる可能性が示唆された。 緑肥の根系を利用した透水性の改善効果に関する試験では、3種の緑肥マメ科作物を用いて透水性の改善効果を調査した。今年度の試験では改善効果は明確ではなかった。 沖縄での秋ソバ品種の検討では、8品種のソバ収量と品質の調査を行った。本年度の試験は、初期生育時の強風と長雨の影響もあり、収量調査は行えなかったが、現在栽培されているサチイズミより主茎花房数が多く、子実の大きい宮崎大粒は有望と判断できる結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に基づき全ての試験を行い、成果が得られている。 特にソバのリン栄養に関する試験は過去に調査されていない新たな知見が多く見いだされた。また、間作作物の利用と不耕起栽培による減肥栽培の可能性も示す結果が得られ、有機質肥料を中心にした栽培の可能性も明らかにしつつある。 透水性の改善によるソバ生育、収量の効果は継続的な試験が必要であるが、透水性不良土壌で生育可能な間作作物の選定という当初の目的は概ね達成している。 沖縄での秋ソバ品種の選定では栽培時期の天候が例年と異なり降雨が多く不良であったが、宮崎大粒など有望な品種の選定が行われている。 ソバ栽培を組み込んだ沖縄での作付体系の検討は、ラッカセイの栽培は十分可能であることを示している。また、試験は行われていないが、沖縄のソバ栽培地域で栽培可能な伝統的島野菜の栽培について調査を行い、今後の試験対象を明らかにしつつある。
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今後の研究の推進方策 |
ソバ栽培の間作、有機質肥料の利用、不耕起栽培に可能性など継続的な調査を行い、施肥量や栽培方法の確立を特徴の異なる土壌を用いた試験や圃場試験も加えて目指す。 また、これまでの試験でソバのリン吸収について新たな知見が見いだされた。この点については、低リン耐性の強度を詳細に調査することや形態別リンの吸収特性、根系発達や根の機能の面を中心にした難溶性リンの吸収メカニズムの解明のための試験を当初計画にはないが行う。 秋ソバ用品種として有望と考えられる宮崎大粒の生産性を調査するとともに収穫したソバの品質について調査を行う。 作付体系の構築に関しては、ソバ栽培時以外に栽培する作物の食品原料や繊維原料などの多様な利用について検討しつつ行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
その他に含まれる学内機器の使用料が予定していた金額より低かったため、差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越金額は少額であるため、物品費として栽培試験の資材等に使用する予定である。
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