現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダリア品種‘熱唱’の安定的な生産方法の確立のための基盤情報とするために,色素合成系遺伝子の発現量の違いを栽培環境と関連させ網羅的に調査した. 赤色花および橙色花からそれぞれ発達段階2,3,4の花弁を採取し,6つの色素合成系遺伝子(CHI, F3H, F3’H, FNS, DFR, ANS)の発現量の差異を調査するために,total RNAを抽出し,逆転写後リアルタイムPCRを行った.なお,内部標準はActinとし,プライマーはGenebankに登録されている配列や本研究で決定した配列を元に設計した. リアルタイムPCRより,6つの色素合成遺伝子の中でFNSのみが橙色花弁において赤色花弁よりも発現量が増加し,その量は発達段階2で2.9倍,発達段階3で9.3倍,発達段階4で29倍であった.以上の結果から,最低温度が色抜け現象を誘導し,花弁の色素組成を変化させた.その原因として橙色花弁ではFNSがどの発達段階でも強く発現することで,アピゲニンとルテオリン量が増加し,その一方でペラルゴニジンとシアニジン量が減少するためと考えられた.
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