研究課題/領域番号 |
26450036
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
片岡 郁雄 香川大学, 農学部, 教授 (60135548)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | キウイフルーツ / 耐暑性 / 自生種 / シマサルナシ / 種間雑種 / 品種改良 |
研究実績の概要 |
温暖地自生種のA.rufa,キウイフルーツ(A.chinensis,A.deliciosa)およびA.rufa とA.chinensisの種間雑種品種‘香川UPキ-5号’の鉢植え個体を,高温,乾燥,湿潤の環境ストレス下に置き,光合成特性と生育状態を調査した.その結果,1.高温制御環境下での生育反応:A.chinensis FCM1,A.rufa 府中,‘香川UPキ-5号’は,25℃から30℃までわずかに光合成速度が上昇し,その後,緩やかに低下した.それに対して,A.deliciosa‘ヘイワード’は25℃で最も光合成速度が高く,温度の上昇にしたがい,光合成速度が緩やかに低下した.いずれの品種も温度が上昇するにしたがって,蒸散速度が上昇した.A.chinensis FCM1,A.rufa 府中,‘香川UPキ-5号’は,同程度の蒸散速度を示したが,A.deliciosa‘ヘイワード’は,3品種に比べ,低い蒸散速度を有していた.2.乾燥ストレス付与による生育反応:A.rufa 府中および‘香川UPキ-5号’は,比較的乾燥には強く,水分含有率が70%程度まで対照区と同程度の光合成速度を保った.3.過湿ストレス付与による生育反応:湛水状態に置いた場合,約1週間で光合成速度が半減した.‘香川UPキ-5号’は,他の系統に比べて高い光合成速度を保ち,落葉も少なかった.4.培養条件下での染色体倍加:Zeatin 2.28µM,スクロース2%(w/v),Malt extract 0.05%(w/v),寒天0.8%(w/v)を添加した1/2MT培地で不定芽分化させた‘香川UP-キ5号’葉柄を3~5mmの長さに切断し,0.05%のコルヒチン溶液に4時間浸漬した.これらから再分化した個体について,倍数性を調査したが,倍加個体は得られなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.温暖地自生種およびキウイフルーツとの雑種について,高温,乾燥,過湿などのストレス負荷条件下での生育反応を計画どおり実施し,温暖地自生種の環境適応性が種間雑種に受け継がれていることを示すことができた. 2.種間雑種について,葉柄から誘導した不定芽からの再分化条件を明らかにできた.不定芽を用いた染色体倍加条件については,材料を含め検討を継続する必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,以下の項目について調査を行う.1.温暖地自生種の環境適応性については,これまでの高温,乾燥,過湿ストレスに加えて,耐風性を調査する.2.温暖地の各地より収集した自生種の各系統について,萌芽における低温要求性,生育周期を調査し,系統間の生態的特性の違いを検討する.3.上記の結果を踏まえ,極少低温要求性系統を選抜し,キウイフルーツとの雑種作出を試みる.4.染色体倍加については,葉柄からの不定芽に替えて,種子を用いた倍加を試みる. 上記を含め,研究期間中に得られた知見をもとに,温暖地自生種とキウイフルーツ雑種の温暖化適応力について総合的な評価を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
ストレス耐性評価に用いた光合成蒸散測定装置を消耗品の購入のみで使用することができたこと,また,現地調査旅費を別途予算により充当したこと等により次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額について,翌年度分と合わせて,物品の購入,現地調査旅費,成果発表のための学会参加旅費に充当する.また,実験材料個体の維持管理に必要な資材の購入に充当する.
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