研究実績の概要 |
研究代表者らの研究グループは、RAD-Seqという部分ゲノム解析法を用いて、100系統以上のカンキツ類を解析した。この解析による主な発見は、以下の通りである。①カンキツ属に属するものの多く(しかし全てではない)は、シトロン、パペダ、ブンタン、マンダリンの基本4種の変種又は交雑種であるという最新の説を確認した。②メキシカンライムは、1本の木から無性的に増殖した植物であることを明確に示した。それにも関わらず、遺伝的に大きく異なる(より具体的にはヘテロ接合性喪失で遺伝的差異が生じた)2系統が存在することがわかった(Scientific Reports, 2014)。③新たに命名したヒマラヤンライムは、形態的にメキシカンライムと似ているが、メキシカンライムがパペダとシトロンとの交雑種であるのに対して、ヒマラヤンライムはマンダリンとシトロンとの交雑種であった(Breeding Science, 2016)。後者は、これまで報告されていなかった種間交雑の組合せであった。④他にも、形態的には似るけれども遺伝的に異なるカンキツ、および、遺伝的には似るけれども形態的に異なるカンキツをいくつか発見した(Breeding Science, 2016)。⑤他にも、これまで報告されていなかった種間交雑の組合せをいくつか見つけた。例えば、ビロロは、マンダリンとパペダの種間交雑であった(Breeding Science, 2016)。⑥カンキツ近縁属の類縁関係を最も詳細に明らかにした(論文作成中)。⑦日本に自生するカンキツ(タチバナ、シークヮーサー、コウライタチバナ)は三群以上に別れ、各群は、1本の木から無性的に増殖していた(論文作成中)。⑦その他の重要な知見について、いくつかは既発表の論文(Breeding Science, 2016)に発表しており、いくつかは論文作成中である。
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