研究実績の概要 |
前年度に組織形態的解析を行ったLS1934(非単為結果性ナス)と、LS1934を遺伝的背景として、果実肥大性を支配する2か所のQTL領域と着果性を支配する1か所のQTL領域をそれぞれ単為結果性ナスと置換したCSSLs(A,B,C系統)を用いて、植物ホルモン類の定量解析を行った。 解析時期は形態学的調査を行ったのと同様に、開花日、開花3,5,8,10,15日後とした。子房、および果柄部をサンプリングし、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニンおよびアブシシン酸類の定量を行った。前年度の結果かから、果実の肥大には受粉や単為結果とは関係なく、細胞数の増加によって微量に肥大する初期肥大と、細胞の肥大に伴い急激に肥大する後期肥大がある事が明らかとなったが、今回の解析から、それぞれのステージに関連して変動する植物ホルモンがある事が明らかとなった。また、A系統では果実肥大後期に高まる植物ホルモンが、B系統では果実初期肥大期に高まる植物ホルモンが、C系統では、他の系統よりも低い傾向にある植物ホルモンがある事が明らかとなった。 今回同定されたこれら植物ホルモン類が、単為結果性に起因するものと考えられ、今後はこれら植物ホルモンを外生的に施与した時に、果実形態に同様の変化が得られるかどうか検討を行う。また、これら植物ホルモン類に関連する遺伝子群の単離を行い、26年度に行ったとの同様の組織を用いて、詳細な発現解析を行う。
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