研究課題
今年度も,昨年度改善できた利便性の高い凍結説法法を活用して,細胞分裂頻度の可視化に取り組んだが,残念ながら期待した成果は得られなかった.しかし,むかごの発育が枝葉の発育に強く影響することから,枝葉の発育に作用する施肥方法の影響を15gと50gの種芋からの個体で比較した結果,枝葉の最大繁茂期である8月下旬の掘り取りで,種芋重15g区の場合,全乾物重は,対照で最も大きく,次いで,無施肥+6月および前期と後期高ECで同程度に大きかったが,無施肥+7月で,無施肥の順に小さい傾向が認められた.さらに,各器官の乾物の分配率で比較すると,対照,無施肥+6月,無施肥+7月および前期と後期高ECで,葉重と枝重で70%以上を占めたのに対して,無施肥では48%程度と低い傾向が認められた.しかし,新芋重は,それらの処理区で高くても20%程度であったのに対して,無施肥では30%程度と高い傾向を示した.つまり,無施肥のように栄養状態が悪い場合,枝葉の発育より新芋の発育を優先する生育特性が示された.逆に,生育初期から栄養状態が良好な場合,枝葉と葉重が占める割合が高まり,特に,葉重で50%程度と高い傾向が認められたが,逆に新芋では11%程度と低い傾向が認められた.この結果は,昨年度不明瞭であった,多灌水で枝葉と新芋の発育を促進した原因と考えられた.最終掘り取りでは,種芋重15g区で400g程度の大きさとなり,種芋重50g区と同程度またはそれ以上の大きさとなり,新芋重/種芋重で示す肥大率も種芋重15g区で大きい傾向が認められたが,その要因については,今後詳細に検討する必要があり,むかごの発育の促進・抑制にも関連する知見であるので,今後も引き続き検討する予定である.
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秋田県立大学ウェブジャーナルB(研究成果部門)
巻: 3 ページ: 237-242
Acta Hort
巻: 73-77 ページ: 73-77
10.17660 / Acta Hortic. 2016. 1118.11