研究課題/領域番号 |
26450045
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
津呂 正人 名城大学, 農学部, 教授 (40410774)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ラベンダー / 連鎖地図 / 精油 / QTL / siRNA |
研究実績の概要 |
(1)ラベンダー分子連鎖地図の作成 真正ラベンダー品種「濃紫3号」(紫花)と「エレガンス・アイス」(白花)とのF1集団94個体を用いて、AFLPおよびSSRによる分子連鎖地図を作製した。集団内で分離が確認できたマーカーはAFLPで758個、SSRで8個の764個であり、LOD値を4.0としたとき、そのうち427個を地図上に座乗させることができた。得られた地図は30連鎖群からなり、全長2099.3 cM、マーカー間の平均距離は4.9 cMとなった。連鎖群の全長の最大値は151.3 cM、最小値は16.0 cMであった。また、第1連鎖群および第27連鎖群のマーカー密度が非常に高く、平均3.1 cMおよび2.0 cMであった。 (2)精油成分生合成遺伝子導入コンストラクトの作成とラベンダーへの導入 ラベンダー精油の香質低下成分の一つである1,8-シネオールについて、1,8-シネオール合成酵素遺伝子(CINS)を標的としたsiRNA誘導型コンストラクトを作成した。cDNA長がRNA干渉効率に及ぼす影響を調査するため、5'-UTRを含むCINS258位(短)、同CINS543位(中)および1381位(長)までのcDNAをGUS遺伝子の一部をリンカーとして正および逆配列に連結し、35Sプロモーターで発現するよう調節したコンストラクトを作成し、ラベンダーに導入した。すべてのコンストラクトで形質転換体が得られ、いずれも抗生物質体制のマーカー遺伝子を検出することができたが、CINS遺伝子を検出することができず、葉におけるCINS発現量にも変化が認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝解析については、連鎖地図を構築することができ、本年度に行う精油分析の結果をもとにQTL解析するため、おおむね計画通り達成されている。 しかしながら、CINSのsiRNA誘導型コンストラクトを導入した形質転換体ではいずれのコンストラクトを導入した個体もトリガー配列が植物ゲノムから脱落しており、再度コンストラクトの構築が必要となっている。このため、形質転換個体作出課程にやや遅れがみられる。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 分子連鎖地図にもとづくラベンダー精油成分の生産量(比)に関するQTL解析 分子連鎖地図作製に用いたF1集団94個体の栽培を継続しており、27年度より花芽を形成することができる。このため、満開期の花穂を採取して水蒸気蒸留して精油を抽出し、GC分析により各個体に含まれている精油成分の生産量ならびに成分比を算出する。得られたデータをもとにQTL解析を行い、主要な精油成分の生産量(比)を調節する遺伝子座を特定する。 (2) 精油生合成遺伝子のsiRNA誘導型コンストラクトを導入した形質転換体の作出 これまでに得られた結果より、CINSのcDNAをラベンダーに導入するとマーカー遺伝子のみが導入され、CINS遺伝子がゲノムから脱落することが明らかとなっており、特にCINSの258位までに脱落因子が含まれていることが推定されている。このため、258位以降のcDNAを用いて新たにsiRNA誘導型コンストラクトを作成し、ラベンダーに導入する。また、ラベンダーの主要な精油成分の1つであるリナロールについても新たにsiRNA誘導型コンストラクトを作成し、ラベンダーに導入することで、精油成分量および比に及ぼす影響を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
AFLPおよびSSRの多型解析にシーケンサーによるフラグメント解析を用いたが、その際に使用したキャピラリー、ポリマーならびにバッファー等の消耗品の請求が次年度になるため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度にフラグメント解析で使用したシーケンサー消耗品使用料に充てる。
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