研究課題
植物における赤かび病抵抗性及びかび毒低減化に関わる遺伝子の発現を改変させた形質転換シロイヌナズナを効果的に組合せて、赤かび病菌に対する病徴とかび毒蓄積を共に低減化できる植物の作出を目指した。赤かび病に対する侵入抵抗性に関わる遺伝子として単離した分泌性の抗菌タンパク質チオニンをコードするシロイヌナズナのThi2.4遺伝子の過剰発現株、また赤かび病に対する植物の誘導抵抗性に関わるNAD合成に関わるシロイヌナズナのNMNAT遺伝子の過剰発現株、リボソーム小サブユニットを構成するRPS27aドメインとユビキチンドメインの両方を有し、侵入抵抗性及び進展抵抗性を負に制御するシロイヌナズナのUBQ6及びUBQ6*タンパク質をコードする2つの遺伝子のノックアウト株、これらについて比較解析したところ、ubq6/6*の二重変異体が赤かび病菌に対する侵入抵抗性及び進展抵抗性ともに最も強い抵抗性を示した。赤かび病が産生するトリコテセン系かび毒を低減化する植物の候補遺伝子として、オオムギから同定したかび毒とグルタチオンのコンジュゲート産生に関わると期待されるHvGST13遺伝子、また還元型グルタチオンの産生に関わるHvGR2遺伝子について、共にシロイヌナズナを用いて過剰発現株を作製した。HvGST13過剰発現株及びHvGR2過剰発現株は、共に複数系統で野生型に比べて、かび毒(デオキシニバレノール)耐性を示すことを明らかにした。また、赤かび病菌接種すると、これらの過剰発現株では野生型に比べてかび毒が減少していた。以上の結果から、ubq6/6*の二重変異体とHvGST13過剰発現株、あるいはHvGR2過剰発現株の交配を試みており、これらの解析を進めることで赤かび病による病徴とかび毒蓄積を共に顕著に低減化し得る植物の作出が期待される。
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