研究課題/領域番号 |
26450056
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
藤原 正幸 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (70403350)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 植物免疫 |
研究実績の概要 |
植物は周囲の環境やカビやウイルスなどの病原体等の外敵から身を守るため、高度な防御システムを備えていることが知られており、その分子機構は近年明らかにされつつある。申請者は我が国の主要作物であるイネを研究対象とし、その病害防御システムを制御するタンパク質OsRac1に着目し、その機能解析を進めてきた。その結果、OsRac1がイネ細胞の細胞膜上において病害の侵入を認識する受容体とともにタンパク質複合体を形成すること、この複合体が外部からの刺激を受け下流にシグナルを伝え、病原体に対する防御応答を行うことを明らかにすることができた。さらにOsRac1と相互作用する新規の因子を探索を進めたところ、MD2タンパク質と呼ばれるタンパク質を相互作用因子をして見出した。その機能解析を進めたところ、このタンパク質が受容体とも相互作用すること、刺激に応じて細胞外へ分泌されることを明らかにした。本研究結果により、イネの病害応答機構を解析する上で非常に重要な知見を得ることができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MD2タンパク質の機能解析を進めるにあたり、重要な材料であるタグを付加した形質転換イネの作出を行ったところ、解析を行うために必要なMD2タンパク質が十分に発現する形質転換イネ培養細胞、ならびに植物体を得ることができた。さらにその植物体から得た種子を播種し、次代の種子を得ることもできた。これは目標としていた計画通りに進める事ができた。 また、平成27年度に行う研究であるタグ付きMD2タンパク質を発現するイネ培養細胞を用いたMD2相互作用因子の単離を行うための条件検討も行うことができ、今後単離したタンパク質をMS解析により同定する段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得たMD2形質転換イネを用いた研究を予定していた計画通り遂行する。 まず病害応答実験を行い、遺伝子、タンパク質発現の解析を行い、病害応答後どのくらいの時間で発現変動するかと見極める。 また、相互作用因子の探索に関しては、これまでに条件検討した条件をもとに、免疫沈降実験を行い。そこで得られたサンプルをMS解析により同定することで新たな因子を見出す。
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