研究実績の概要 |
対象とする6種類のいもち病菌エフェクター遺伝子のうち、ME0009およびME0016について遺伝子を破壊したいもち病菌系統を作出した。またこれらを含めた全6種類の遺伝子を恒常的に強発現する組換えイネをそれぞれ3系統以上作出した。このうち遺伝子破壊いもち病菌について病原性の検定を実施したがいずれにおいても野生型と比較して有意な病原性の変動は認められなかった。また、これらの遺伝子を強発現する組換えイネでいもち病抵抗性が有意に抑制されるような結果は認められなかった。 これらの遺伝子産物が実際の感染の過程においてもイネ細胞核に移行することを検証するために、自身のプロモーターの下流にタンパク質コード領域と赤色蛍光タンパク質mCherryとの融合遺伝子を持つキメラ遺伝子を作出し野生型のいもち病菌に導入した。これらを、細胞学にGFPが局在するようにした組換えイネの葉鞘に接種し、36時間後に蛍光を観察したところ、ME0008, ME0009, ME0014, ME0032の4種類のタンパク質がイネ細胞核に移行することが証明された。他の2種類は明確な核局在が確認できなかったが、これは自身のプロモーターが強くないために、発現量が低かったことによるのではないかと推察された。
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