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2016 年度 実績報告書

鱗翅目幼虫における二次刺毛の被食防衛機能の解明:「ケムシ」に生物的防除は有効か?

研究課題

研究課題/領域番号 26450065
研究機関神戸大学

研究代表者

杉浦 真治  神戸大学, 農学研究科, 准教授 (70399377)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード天敵 / 害虫 / 被食防衛
研究実績の概要

研究計画に従って、最終年度は二次刺毛のコスト査定を行った。ケムシは脱皮ごとに二次刺毛を発育させる必要があるため、二次刺毛が発達しないイモムシよりもケムシで齢期間がより長くなるという予測を以下のように検証した。25°C、明期16 時間/暗期8時間の条件下でケムシ4種(アカゲヒドクガ、エルモンドクガ、クワゴマダラヒトリ、オビカレハ)およびイモムシ6種(カイコ、クワコ、オオシモフリスズメ、モモスズメ、ハスモンヨトウ、ホシシャク)の生育期間を測定し、各齢の平均発育期間を求めた。予測に反し、ケムシが必ずしも発育期間が長くなっているわけではなく、むしろ大型イモムシ(スズメガ類幼虫)ではケムシよりも発育期間が長い傾向が見られた。これは、二次刺毛の発達以外にも体重増加など他の要因が発育期間に重要な影響を与えている可能性が高い。また、イモムシ各種で脱皮後すぐに脱皮殻を接食してしまうため、ケムシとイモムシの脱皮殻の重量比を比較することができなかった。
研究期間全体(3年間)を通じて主に2つのことを明らかにした。(1)クワゴマダラヒトリの老齢幼虫では、発達した二次刺毛が捕食性昆虫(クロカタビロオサムシ)に対して重要な物理的防衛機能があることを操作実験により示した。(2)マイマイガの1齢幼虫は捕食寄生性昆虫(ギンケハラボソコマユバチ)に産卵・寄生されるが、2齢以降では発達した二次刺毛が産卵を妨げる機能があることを実験的に示した。従来、鱗翅目幼虫の二次刺毛の機能には被食防衛機能があることは経験的に知られてきたが、どのように二次刺毛が防衛に関与しているのかを詳細に検討されてこなかった。本研究では、二次刺毛を物理的に切断することで、二次刺毛が捕食者の大顎や寄生者の産卵管より長いことが重要であることを初めて明らかにした。以上の成果は査読付きの国際誌に論文として掲載されている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件)

  • [雑誌論文] Scavenging behavior in leaf-feeding caterpillars.2017

    • 著者名/発表者名
      Shinji Sugiura, Kazuo Yamazaki
    • 雑誌名

      Journal of the Lepidopterists’ Society

      巻: 71 ページ: 59-61

    • DOI

      10.18473/lepi.v71i1.a8

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Fork-tailed caterpillars bite off their long anal prolegs to pupate in fallen branches.2017

    • 著者名/発表者名
      Daichi Funamoto, Shinji Sugiura
    • 雑誌名

      Journal of Asia-Pacific Entomology

      巻: 20 ページ: 印刷中

    • DOI

      Fork-tailed caterpillars bite off their long anal prolegs to pupate in fallen branches

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Chemical defence of turnip sawfly larvae against Japanese tree frogs.2017

    • 著者名/発表者名
      Satoru Matsubara, Shinji Sugiura
    • 雑誌名

      Journal of Asia-Pacific Entomology

      巻: 20 ページ: 225-227

    • DOI

      10.1016/j.aspen.2017.01.001

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Caterpillar hairs as an anti-parasitoid defence.2016

    • 著者名/発表者名
      Azusa Kageyama, Shinji Sugiura
    • 雑誌名

      The Science of Nature - Naturwissenschaften

      巻: 103 ページ: 86

    • DOI

      10.1007/s00114-016-1411-y

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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